COMPASS: 業務を行う際に SMEDI が直面している課題とはどのようなものですか?
LV WEI ZHANG: 中国では、主要インフラプロジェクトにおいて設計と建設を並行して進めることが一般的です。通常、建設が開始される時点で、プロジェクトの 50% しか設計されていません。オーナーは建設中、より緻密に残りの部分のプロジェクトを計画できます。つまり、プロジェクトの進化に従い、設計を修正していきます。これがプロジェクトを調整する方法の 1 つです。
このプロセスはオーナー寄りのものですが、一方で設計者からすると非常に難しいものです。成功させるには設計の結果を明確に可視化し、品質と効率の両方を確保できなければなりません。高度な建築情報モデリング (BIM) のプラットフォームにより、オーナー間のコミュニケーションを改善し、かなりの柔軟性を持って設計の変更を行い、精密さと効率をもってプロジェクトの進捗状況を管理し、プロジェクトの遅延を効果的に取り戻すことができます。
高度な BIM プラットフォームを採用するまでは、業務でどのような課題に遭遇しましたか?
LWZ: 従来、当社のコントラクターは型枠を利用する現場施工方式をかなり広範に使用しており、現場で多くの作業を行っていました。これには非常に多くの欠点がありました。まず、材料廃棄物の管理が難しいことです。次に、コスト管理が大変です。さらに、時間やスケジュールの管理も大きな課題でした。最後に、現場での型枠施工作業は、プレファブリケーションで必要とされる以上にはるかに広いスペースを占有しました。そのため、他のコントラクターが長期間にわたって作業現場から遮断されることがよくありました。
その課題をどのようにして解決したのですか?
LWZ: まず、業務を完全にエンジニアリング・調達・建設 (EPC) システムに統合しました。このシステムはエンジニアリング、調達、建設の概要と、それらが相互にどう関係しているかを提示してくれます。可能な限りオフサイトでプレファブリケーションを行い、その後 BIM システムをスタートさせました。このシステムにより、全体的な効率が大幅に向上しています。
BIM のメリットは何ですか?
LWZ: BIM によって、一方では、 3D 設計のコラボレーションを実現できます。マクロなシステムからミクロな部品まで、設計は 3D ビジュアルとして表示されるので、すべての関係者とコミュニケーションをとる際に明瞭さと精密さがもたらされます。また、BIM は業界標準形式でデータ通信を容易にするため、誰もが同じ情報を明確に確認できます。
BIM アプリケーションについて概要を説明してもらえますか?
JUNWEI WU: 2005年から、中国の土木エンジニアリング業界は CAD から BIM への移行が始まりましたが、当社はその時点で設計業務に BIM を使い始めました。それまでは、2D 設計の欠点を我慢しなければならなかったのです。修正箇所はリンクされていませんでした。つまり、1 つの図面を変更しても、自動的には他の図面の変更箇所が通知されませんでした。BIM では、1 ヵ所の変更があると、関連するエリアも変更する必要があると設計者に警告が発せられます。
BIM が初めて使われたのは水処理工場でしたが、通常の BIM は道路や橋梁を扱うのに常に十分な機能があるわけではありません。 サプライヤーと協力して、道路、橋梁、トンネルの可視化に最適な土木エンジニアリング専用の BIM を開発しました。これを使用すると、、設計コンセプトを示すことができ、プレゼンテーションの際にはごく小さな機能に関しても、より正確に説明できるようになります。
いくつか例を挙げていただけますか?
JW: SMEDI は特に橋梁の設計を得意としています。たとえば、江西省のカン江の第二橋梁は「魚のような」デザインで、風景に非常によく溶け込んでいます。構造は複雑で、上部が鉄骨、下部がコンクリート、中間部は双方の組み合わせです。土木エンジニアリング専門の BIM を使用して、十分に計画された業務の分担を実施し、部品、骨格、鉄骨の構造に対してさまざまな技術者の協力体制を築きました。
当社の土木エンジニアリング BIM を使用すると、頻繁に発生する設計の変更箇所に非常に容易に対応できるようになりました。これまでは、設計に変更を加えることは、設計そのものよりも時間がかかることがよくありましたが、現在では、きりがない修正作業の苦痛は大幅に解消されています。
別の注目すべき例は、上海の楊高南路のトンネルプロジェクトで、数多くのトンネルと橋梁が含まれるプロジェクトです。BIM によって、設計はより一層正確になり、容易に可視化できました。
貴社の意見を基にパートナーが開発した、土木エンジニアリング BIM ソリューションに対する全体的な評価はどのようなものですか?
JW: 当社はこのプラットフォームから大いに恩恵を受けてきました。パートナーはこの製造分野で長くトップの座にあります。「今日の製造業の業務は明日の土木業務」になると予測しています。
さらに、このプラットフォームのおかげで時間を大幅に節約できました。それまでは、仕事の約 3 分の 1 の時間を設計業務に、3 分の 2 の時間を連絡業務にかけていました。設計業務が促進されるだけにとどまらず、BIM によってコミュニケーションを非常に迅速かつ容易に行えるようになり、大幅な実質コスト削減につながっています。
当社の BIM プラットフォームは、土木設計業界の課題を効果的に解決できるように特別に開発されたものです。このプラットフォームは成熟していながら、同時に革新的でもあります。◆