Architecture, engineering & construction

カスタマイズの中での 効率化

Vicki Speed
18 October 2014

イタリアを拠点とするパルマスティーリザ・グループは、建物の内外装の設計、製造、建設をグローバルに手がけていま す。ビルディング システムの短納期でのカスタマイズというニーズを満たす際に、テクノロジーやプロセスの標準化がも たらす効果について、同社ITプロジェクト マネージャーのFederico Momesso氏と、同コミュニケーション マネージャー のMassimiliano Fanzaga氏にお話を伺いました。

COMPASS:クライアントの期待に応える際に 直面する課題は何でしょうか?

FEDERICO MOMESSO氏:ビルのプロジェクト は一つとして同じものはなく、それぞれ異な るスキルを持つ多数の関係者(オーナー、建 築家、技術者、ゼネラルコントラクター、サブ コントラクター、サプライヤー)が参画する必 要があります。この業界は分断されていて、他 の業界、例えば自動車業界や航空宇宙業界の ように、製品の構想から完成まで一貫して同 一の高度な3Dモデリングを適用するという段 階には至っていません。その理由の一つは、 ビルにはそれぞれ違いがあるということで す。ビル建設では一つ一つの設計がすべて異 なるのです。

MASSIMILIANO FANZAGA氏:その上、プロ ジェクトはますます複雑化しています。すべて のプロジェクトに違いがあるにもかかわらず、 オーナーや建築家、ゼネラルコントラクターは、プロジェクト実施設計、運用、施工にいま だかつてないスピードを求めます。パルマス ティーリザは、文化背景が異なり、要求事項 やリソース、意識の高さもまちまちな多様な 顧客のニーズに自社サービスを適応させると いう、今までにない課題に直面しています。

COMPASS:御社の最も一般的なワークフロー はどのようなものですか?

FANZAGA氏:この業界は、初期段階で設計レ ビューを行う、自動車業界に似たフロン ト ロード型設計プロセスへのシフトが進ん  でいます。これはすべての関係者――特に建 築家ゼネラルコントラクター――のコミュニ ケーションとコラボレーションを改善すること を目指したものです。

オーナーやプロジェクト チームと企画設計の ごく初期の段階から協力し合い、プロジェクト のニーズや予算に最もふさわしい技術的ソ リューションを作り上げることが理想です。

「パルマスティーリザ・グループは、 Frank Gehry氏の造形物デザインを、 3Dモデリングを用いて建設可能な 要素に変換しました」

FEDERICO MOMESSO氏
パルマスティーリザ・グループITプロジェクト マネージャー

MOMESSO氏:技術的フレームワークの開発 に関する最大の課題の一つが、世界各国の 顧客が使用しているあらゆる種類のモデリン グ システムと連携できる(3Dモデリングの)ソ リューションを見つけることです。リード タイ ムを短縮し、作業の無駄ややり直しを削減し、 品質の高さに対する期待を維持するために、 私たちはより多くの情報と機能性を把握する 能力を持たなければなりません。

COMPASS:市場の需要に応えるにあたり、テ クノロジーはどのように役立ちますか?

MOMESSO氏:弊社では長年、仮想設計や3D のテクノロジーを活用してきました。弊社が 3Dモデリングを導入した最初のプロジェクト の一つに、Frank Gehry氏が1992年のスペイ ン バルセロナ五輪のためにデザインした Golden Fishの建設があります。弊社プロジェ クトの技術者やデザイナーは、干渉の検出や 品質確認にシステムの機能を駆使しました。 現在パルマスティーリザでは、設計コンセプ トを顧客に伝えて共有する際に、設計意図の 視覚化やコスト バランスの判断を助けるも のとして、仮想モデルを使用しています。

FANZAGA氏:弊社の強みは、顧客ごとにカス タマイズされた各プロジェクトの要求に応え るべく、どのような作業でも、時間や場所を問 わずに最適なリソースを配置できるというこ とです。それほど遠くない昔、弊社の50ヵ所 のオフィスは、それぞれに異なるCAD等の設 計ツールを使って仕事の完遂を目指していま した。しかし今では3Dのおかげで、拠点を問 わずにすべてのスタッフが同じ言葉で話せる ようになりました。すべての企画設計作業で 標準化されたIT環境を利用し、誰もがどのプ ロジェクトでも作業できる環境を実現してい ます。

COMPASS:どの部品をどこに使うかという点 を、建設業者にどのように伝えていますか?

MOMESSO氏:プロジェクトごとに、各モ ジュールの設置方法や、各フロアおよびファ サードの正しい設置手順を示すマップを記載 した、詳細な作業指示書を提供しています。

COMPASS:プロセスをさらに改善するために、 どのように努力されていますか?

MOMESSO氏:設置作業に関しては、無線識 別(RFID)タグを用いて一つ一つのユニットの 設置場所を正確に示せるようにする方法を実 験しています。3Dの恩恵が顧客やサプライ ヤーに広がっていくことも期待しています。ビ ル建設業界における3Dモデリングは、特に Building Information Modelingのおかげで、 導入初期と比べると目覚ましい進歩を遂げて います。また、弊社の顧客は顧客自身の3Dモ デルと連携できるソリューションを求めていま す。私たちは現在、製品ライフサイクル技術の 導入を進めています。これらの技術により、一 元的な製品マネジメントを実現するための、 コラボレーションを基盤としたプロジェクトの 骨格を築くことができます。このことは、オンラ イン上の創作やコラボレーションの能力を拡 大し、リーンな建設手法を発展させることに役 立ちます__

Vicki Speed氏はコロラド州を拠点とし、エンジニアリング および建設市場を専門とするフリーランス記者です。

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