日本人フラワーアーティストの東 信(あずままこと)氏は、わき立つように咲く花々から小さな松の木まで、あらゆるものを組み合わせた人工構造物の中に植物の美をとらえます。東氏は世界各地で無数のアートインスタレーションを制作し、植物による独特で想像力富かな表現を創り出しています。
「僕は、花や植物がそれ自体では表に出せていなかった表情を見つけ、見る人の想像力を刺激し、新しい可能性を追求し続けたいと思っています。花と植物を際立たせることで、人の心の中で植物の存在価値を高めたいのです」と東氏は述べています。
「見る人のイマジネーションを ふくらませるような作品を世界中で 作り続けるつもりです。」
東 信
フラワーアーティスト
東氏は福岡県で生まれ、音楽での成功を夢見て上京しましたが、その後花の世界に転じました。「音楽だけでは食べていけなかったのでアルバイトを始めたのですが、それがたまたま、花の仲卸市場での仕事でした。その時々に花が見せる表情に取りつかれ、徐々にこの分野にのめりこみました」(東氏)。
花の世界にのめり込んでいった東氏は、東京都内にオートクチュールの花屋「JARDINS des FLEURS(ジャルダン・デ・フルール)」を開きました。「お客様のために花束を作っている一方で、自分と花と1対1の距離を追究したいという思いが湧いてきました。『JARDINS des FLEURS』のためでなければ、今のような芸術作品の制作に携わっていなかったかもしれません。」
東氏の本業は芸術家と花屋のどちらなのでしょうか。「フラワーアーティストとしての作品は、花、僕自身、そして花の美を見いだそうとする探究心が関わり合った結果として生まれてきます。花屋としては、お客様、花、僕自身のどれか一つでも突出してはいけません。これら3つがほどよいバランスを保つことが大切です。いずれにしても、花屋兼フラワーアーティストでいることが僕の本質です」(東氏)。
「今後も見る人のイマジネーションをふくらませるような作品を世界中で作り続けるつもりです。最近まで、僕の作品は花や植物を使った個別の芸術作品でした。しかし今では、僕の創作プロジェクトは規模が大きくなって、景観や公共空間等の施設に組み込まれた総合芸術のようになってきています。」
日本だけでなく、フランス、米国、中国、メキシコ、ブラジル等からの依頼も絶えない東氏の2014年は、多忙な年になる予定です。「建築家の隈研吾さんと一緒に、北京とニューヨークで行われる壁面と景観のプロジェクトに関わっています。また、メキシコのEspacio Escultorico(彫刻の空間)で、『建築との対話』がテーマとなる作品づくりを試みています」と東氏は述べています。彼が「実験的」と呼ぶこうしたプロジェクトのほかにも、様々な活動を通して今後も植物の価値を高めていきたいと考えています。
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