知覚への挑戦

Amber Stokes
26 October 2012

ドイツ出身のEdgar M殕ler氏は、公共の場を変貌させて世界の道行く人々を驚かせる3Dストリート・ペインティングで一躍有名になりました。COMPASS編集部は、路上3Dアートの第一人者であるM殕ler氏に、彼の作品とインスピレーションについてお話を伺いました。

Compass: アートに魅せられたのはいつ頃からですか。

E. Müller: 両親から聞いた話によると、筆を握れるようになったころには絵を描き始めていたそうです。思い付く限りのテクニックを夢中で試していたのを覚えています。14歳のときに絵画のクラスを取りましたが、何をどのようにするかを人に指示されるのに耐えられませんでした。自分で考えた方法を試して経験を積んでいく方が、100人の美術教師に教えてもらうより建設的です。

ストリート・ペインティングに集中するようになったきっかけは何ですか。

E.M.:  私が通った高校はゲルダーンというドイツの小さな町にありましたが、この町は、世界で2番目に古いストリート・ペインティング・コンテストの開催地でした。私は、路上にチョークで描かれる、つかの間の名作に夢中になりました。大学時代は通信設計を学ぶかたわら、ヨーロッパ中でストリート・ペインティングをしながら生計を立てていました。

「私にとっての インスピレーションを得る方法は、 私の今ここでの存在意義は何か?私がもっと うまくできることは何か? 現実はどのようにして 作り出されるか? 時間は直線的か? と自問することです。」

Edgar Müller
国際的に活躍する3Dストリート・アーティスト

そのときの経験と路上で広がった可能性は、大学での生活とは比べられないほど大きなものでした。そこで、学業をやめ、自分にとってはるかに確かなものだと感じられるストリート・ペインティングの道に進むことに決めました。

どのようにしてインスピレーションを得ていますか。

E.M.: 内的な葛藤と戦うことほど、パワフルで建設的なインスピレーションの源はありません。私にとってのインスピレーションを得る方法は、私の今ここでの存在意義は何か?私がもっとうまくできることは何か?現実はどのようにして作り出されるか?時間は直線的か?神の存在を信じるか?と自問することです。こうした疑問は子供っぽいと思われることもありますが、ほめ言葉として受け止めています。

3Dストリート・ペインティングを通して人々にどのような影響を与えたいと考えていますか。

E.M.: 個人的なメッセージ、疑問、そして自分の作品の中で見つかることもある疑問の答えを伝えたいということのほかに、公共の場の外観を変えて、人間の日常的な知覚を揺り動かしたいと考えています。

ストリート・ペインティングや3Dストリート・ペインティングの人気が高まっている理由は何だと思いますか。

E.M.: ストリート・ペインティングにはグラフィティ(落書き)のような違法性はなく、作品を公共の場に展示でき、若いアーティストであっても、ギャラリーや美術館がなくても鑑賞者に直接作品を見せることができます。道を歩いている人に3Dについて尋ねると、ほとんどの場合には、コンピュータ・ゲームや最新式のテレビのことに触れるでしょう。3Dストリート・ペインティングは、ゲームやテレビとはまったく異なるテクニックを使って三次元(立体)を表現します。 

次はどのような構想を練っていますか。 

E.M.: 光害」がない砂漠内のどこかに発光性ペイントで作品を制作し、最終的な絵の一部として星明かりを利用できれば最高ですね。

Related resources