自動車・自転車用チャイルドシートとベビーカーの世界的メーカーであるブリタックス・レーマー社は、最高レベルの安全・品質基準を満たしながら、現代家族のライフスタイルニーズに合わせて製品を絶えず進化させています。
この戦略が実を結び、ブリタックス・レーマー社は世界有数の信頼性を誇る子供向け安全製品ブランドへと成長しました。しかし一方で、非常に多くの選択肢を用意しながら材料の安全性を確保しなければならないため、同社のサプライチェーン管理は複雑になっています。
「親御さんは以前にも増して質の高い製品を求めています」と話すのは、ブリタックス・レーマー社で欧州・中東・アフリカ(EMEA)担当マーケティング・ディレクターを務めるMoritz Walther氏です。「有害な化学物質の含有量が少なく、安全に使用できる製品だけをお子さんに触れさせるように気を配っているのです。さらに、可能な限り高い水準の性能や快適性、使いやすさとともに、自分たちのスタイルを反映するような製品も期待しています。当社は子供用安全製品メーカーとして、提供する機能だけでなく、製品を製造する方法と場所に関しても、安全性を確保することを目指しています」
ブリタックス・レーマー社は、今日の多くの家庭用消費財メーカーを動かしているトレンドを象徴する典型的な例です。そのトレンドとは、イノベーションを加速させ、消費者の需要に応える必要があるということです。
「消費財企業は、卓越したイノベーションを大規模な顧客エクスペリエンスと結び付けて重視しており、個人とグループを対象に顧客エクスペリエンスを創出・モニタリングしています」と話すのは、米国を本拠とするIDC Manufacturing Insights社とIDC Retail Insights社のバイスプレジデントを務めるIvano Ortis氏です。「それと同時に、新製品の数は増加してきました。その結果、特にサプライチェーンがイノベーションのペースに対応できるかどうかという点で、オペレーション上の問題が生じています」
安全性と個人のスタイルの共存
健康、ウェルネス、利便性は、こうした取り組みにおける主要な焦点領域です。
「今日の消費者が重視する主な領域――健康・ウェルネス、エンターテインメント性、利便性――におけるマーケティング活動とイノベーション活動は向上しました」と、米国の市場調査会社NPDグループ社でエグゼクティブ・ディレクター兼産業アナリストを務めるJoe Derochowski氏は、2018年のブログ記事で述べています。「イノベーションを発展させ続けることは、消費者から真っ先に思い出してもらえる企業であり続けるために不可欠でしょう。ただし、そうしたイノベーションは、消費者を念頭に置いたものである必要があります」
ブリタックス・レーマー社では、安全性と品質を両立させると同時に、顧客のライフスタイルニーズも満たす必要があることから、製品の品揃えが絶えず拡大しています。そのため、データとプロセスを完全にコントロールすることが必要です。
「たとえば、当社で人気上位の2種類のベビーカーは、まったく性質が異なります」と、Walther氏。「GOシリーズは、北欧デザインを基調とし、豊富な機能を備え、親子双方に究極の快適性をもたらします。それに対してBritax HOLIDAYは、シンプルで軽量なベビーカーで、ちょっとした用事を済ませに出かける時や旅行に最適です」
サプライチェーンのコントロールが不可欠
ブリタックス・レーマー社の「気を配ったモノづくり」の理念は、布地やその他の部品の化学・機械的検査に対する厳しい社内基準に表れています。そして、それらの基準は規制上の要件を上回ることも少なくありません。安全性への気配りは、サプライチェーンに関する同社の意思決定にも影響を及ぼしており、同社のサプライヤーと材料は必ず十分な精査を経ることになっています。
「スピード、インサイト、そしてアジリティは、消費財企業のビジネスニーズの特徴です」
IVANO ORTIS氏
IDC MANUFACTURING INSIGHTS社およびIDC RETAIL INSIGHTS社バイスプレジデント
「製品の安全性は、構成部品の質に直結しています」と、Walther氏。「部品は、仕様から少しも外れることなく、要求された規定の品質通りに製造・納品されなければなりません」
ブリタックス・レーマー社は、同社の高い基準を満たすサプライヤーと密接な関係を築いています。「当社では主に、長年の付き合いがあるサプライヤーと取引をしています。それらのサプライヤーは、子供用安全製品に求められる構成部品の質の重要性を理解しているからです」と、Walther氏。「ブリタックス・レーマー社の自動車用チャイルドシートの大部分と、自動車用チャイルドシートに使用するすべての布地とカバーは、ヨーロッパで製造されています。これは、品質管理を強化し、可能な限り安全な子供向け製品を開発することを目指す当社の取り組みにおける重要なステップの1つです」
厳格な基準を満たすイノベーションを実現すると同時に、市場のトレンドに迅速に対応するためには、エンジニアリング部門からマーケティング部門に至るまでのあらゆる部署が緊密に連携し、一丸となって取り組む必要があります。ブリタックス・レーマー社は、最新鋭のエンドツーエンド型ビジネス・コラボレーション・プラットフォームを利用して、調整を管理しています。
「たとえば、自動車用チャイルドシートのプロジェクトでは毎回、初期コンセプトを策定する際に、旧製品で得たノウハウと新しいアイデアや意見を組み合わせています」と、Walther氏。「コンピュータ支援設計(CAD)のエンジニアは、設計、検査、シミュレーション担当チームと協力して、最初のCADモデルを作ります。旧製品で好評を博した機能は参照カタログとしてシステムに保管されており、実証済みの安全性基準を一貫して満たすための助けになっています」
安全性を実現するアジャイルなイノベーション
日用消費財・小売市場において、連続的で脈略のある顧客中心のイノベーションは欠かせません。ブリタックス・レーマー社のように、それを実現するスマートでコラボレーティブな方法を見出すことは、将来成功するために必要不可欠です。
「スピード、インサイト、そしてアジリティは、消費財企業のビジネスニーズの特徴です」と、IDCのOrtis氏は述べています。「焦点は製品を売ることから、体験を提供することに移りました。消費財企業は、顧客を大規模に巻き込むとともに、迅速なイノベーションによって期待の変化に対応できるダイナミックなサプライチェーンを生み出さなければなりません。そのためには、クラウドベースのソリューションやロボティクス、人工知能、拡張現実といったテクノロジーによって可能になる、オートメーションとコラボレーションの新たなモデルが必要とされます」
Ortis氏いわく、そのようなことが可能になれば、企業や部署は効率的な共同作業とイノベーションを実現できるようになります。「そうすれば、企業はビジネスを変容させるでしょう。これは、将来の機会を現実のものにするために不可欠な要因です」
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