この機能を使用するのに大きな施設は必要ありません。たとえば、スターバックスで取引先とミーティングするときに仮想技術を利用できない理由はないのです。もう一つ注目すべきなのは、この技術が急速に、テクノロジーの専門家だけでなく、ビジネス分野の担当者も利用できるものになりつつあるという点です。当社は、業務や営業の担当者、デザイナーなど、組織内でさまざまな役割を果たす人たちが仮想現実(VR)機能を利用できるようにすることを、ビジョンとして掲げています。仮想現実技術は、タッチアプリケーションほど気軽に利用できませんが、その距離は縮まっています。5年後には、モバイルデバイスでも簡単にVRを利用できるでしょう。
ビジネス面では、この先進的な構想からどのような付加価値がもたらされますか。
各商品分野の分析担当者やショッパー心理の専門家は、店舗の通路にいる買い物客の注意を惹き付ける最善の方法を検討する過程を通して、さまざまな決定を下す必要があります。まず、何が起きるかを考え、実際に起きていることを観察してから、それを再現するものを物理的に製作します。仮想機能を利用して、ソリューションがどのように見え、どのように機能するかを可視化すれば、物理的なモデルを作る場合と比べて、プランニングプロセスのごく初期に決定した事柄を実際にテストできるのです。これでプロセスが合理化されて、効率の向上を図れるほか、成功を収める見込みも高くなります。
仮想現実を利用したおかげで、誤った方向に行きすぎてしまう事態を回避できた例を教えていただけますか。
マーチャンダイジングに関するアイデアとコンセプトを考案した後は、VRを使用して、それらを個々の店舗構成に当てはめ、イノベーションの内容と、それが小売業者の実店舗でどのように機能すると思われるかを説明しました。実施してきた研究と、社内に蓄積されたショッパーインサイトを反映させたVR技術は強力な援軍で、店舗で起こると考えられることを販売の観点から目に見えるようにできます。当社と小売パートナーが、買い物客の購買行動にどのような影響があるかを理解しやすくなるのです。
「5年後には、モバイル デバイスでも簡単に VR を利用できるでしょう。」
KIM GREENWOOD 氏、KIMBERLY-CLARK 社
仮想現実部門シニア マネージャー
VRはその他の用途にも用いられていますか。
伝えたい情報は、お客様の目に実際に届いているか。情報が飛び出し感を表現し、買い物客が探しているものを見つけて一日の用事をどんどん片づけられるようにするには、どうしたらよいでしょうか。3人の子供の母親が、手早く買い物を済ませて、20分以内に子どもをサッカーの練習に連れて行かなければならないとします。この母親が、必要としているものを簡単に見つけて買い物カゴに入れる助けとなるために、私たちメーカーは何をすべきでしょうか。小売店の立場から何としても避けたいのは、彼女が必要なものを見過ごし、その場から立ち去らせてしまうことです。
Kimberly-Clark社の小売パートナーとの協力関係を強化し、拡大するために、何をされていますか。
私たちは、小売業者がプロジェクトのパートナーとなるメーカーを探しているときや、業界動向の詳しい情報を必要としているときに、真っ先に連絡をもらう存在になることを目指しています。小売業者が扱う特定の商品カテゴリで、どのような成長機会が見込まれるかを決めるような新しいイノベーションを推進することで、確実にそうなれるよう努力しています。
これは、製品のイノベーションにとどまらない、スケールが大きなイノベーション(Big Iinnovation)を指しています。