「ドローン(無人機)」が もたらす大きな変化

多様な商業利用の可能性を拓く 無人小型飛行機

Doug Chovan
8 June 2014

ドローン(無人小型飛行機)は、軍事的偵察から天気予報まで、あらゆることに広く使用されています。こうした無人航空機システム(UAS)は、現在では商業分野に大変革をもたらしつつあります。自律式の小荷物配達から農業調査にわたる用途が考えられるドローンは、確実に安全な運用を行う方法について規制当局が合意できれば、航空機技術の新時代を先導するかもしれません。

最近まで、ドローンは一般的に危険度の高い軍事的任務により、翼下にミサイルや高度な監視装置を搭載し、人目を避けて飛行する機械だと思われていました。そうしたドローンも確かに存在しますが、商業分野におけるドローンの応用が秘める可能性に注目が寄せられてきています。

人々の注意を最も集めているのは、Amazon社が研究開発を進めている、軽量な小荷物を事実上世界のあらゆる場所に遠隔操作で配達する小型のプロペラ駆動型ドローンで、人が普通のドローンの姿として思い浮かべるイメージを完全に変えようとしています。すでにラジコン飛行機よりも小さなドローンが市販されており、そうしたテクノロジーが経済的に成り立つかどうかを専門家たちが議論する時期から、実際にドローンがもたらす経済的影響を予測する時期へと移行しつつあります。

普及への道のり

現在、米国ではドローンの商業利用は禁止されていますが、2015年末までの公開を目指して米連邦航空局(FAA)が指針を作成中です。

米国バージニア州に本拠を置く無人車両/飛行機の国際的な非営利組織AUVSI(Association for Unmanned Vehicle Systems International)で相談役および政府機関対応シニア マネージャーを努めるBen Gielow氏は次のように述べています。「2012年FAA近代化 改 革 法(FAA Modernization and Reform Act of 2012)は、無人航空機と有人航空機を国の空域管理システムに統合することをFAAに求める文言が含まれる最初の法案でした。それ以前はFAAでは、無人航空機の商業利用を一時的流行のようなものだと見なしており、あまり真剣に受け止めていませんでした。」

Gielow氏によれば、米国では、無人型のシステムやロボット工学を進歩させることに注力する非営利組織のAUVSIが、米国連邦議会議員と協力し、無人航空機システムの商業利用により多くのリソースを振り向けるようFAAに働きかけてきました。これは、このテクノロジーがもたらすと予測される経済的な影響が主な理由となっています。

AUVSIは2013年に、商用ドローン テクノロジーの発展により、米国では2025年までに10万人を超える雇用が新たに創成され、国全体に対し、商業利用開始後の最初の10年間で820億ドルを上回る経済効果をもたらすと予測しました。

世界各地のルールには大きな違いが

小荷物を配達するドローン。Amazon社の将来の配達方法の一つを表現(画像©mipan/thinkstock.com)

ドローンに関する法律は国によって大きく異なります。カナダは、ドローンに関する法律が最も複雑であることで知られています。たとえば、「航空機模型」にカメラを追加するだけで区分が「無人航空ビークル」に変わり、カナダ空域の管制を担うカナダ運輸省から特殊航空業務証明書(SFOC)を取得しなければなりません。

ヨーロッパでは、ドローンの規制は案件ごとに異なり、欧州航空安全機関(EASA)のもとで特別な認定を受ける必要があります。認定によって影響を受ける有望なドローン利用分野には、災害時の人道的救援や医療での用途が含まれます。ドイツのボンに本拠を置く配送サービス企業のDeutsche Post DHL社は最近、ドローンを使用した最初の小荷物配達を成功裏に実施しました。同社のドローン「Paketkopter」は、薬 局 から高 度 約100mで1km強の距離を飛行してライン川を越え、DHL社のオフィスまで医薬品を運びました。3kgの積荷を運ぶこのドローンは、人間のオペレーターによって遠隔制御されましたが、DHL社は、GPSを利用して操縦される自律型ドローンも実現可能だと述べています。

「テクノロジーはあらゆる仕事のあらゆる面に大きな変化をもたらします。」

アジアに目を向けると、中国は現在、ドローンの使用を政府部門や国とつながりのある事業に制限しています。中国本土空域の管理は人民解放軍と、高度1,000mより下を飛ぶすべてのものを管轄する中国民用航空局(Civil Aviation Administration)とに分けられています。

主役たりえる用途とは

小荷物を配達するドローン。Amazon社の将来の配達方法の一つを表現(画像©mipan/thinkstock.com)

Amazon社の配達用ドローン構想が中心的話題となる一方で、多数の実用的な商業利用が実 践され たりテストされ たりしています。AUVSIは、ドローン使用の最も有望な産業は農業だと予測しています。

カリフォルニア州ナパ バレーのワイン生産地域の中心では、カリフォルニア大学デービス校が、FAAの特別な離着陸許可と規制のおかげで、同校のOakville Stationワイナリーに施肥のため、ヤマハ発動機のRMAXをテストしています。こうしたドローンの使用は、トラクターには傾斜が急過ぎる農業用地、面積が狭くて固定翼機を飛ばすには安全でない谷間、標準的なヘリコプターのプロペラから発生する強烈な吹き降ろしが作物を傷める可能性がある場所には最適です。

保護の分野では、世界的な非営利グループConservation Dronesがドローンを使用して、インドネシア北スマトラの熱帯雨林でオランウータンの生活拠点を調査しています。ドローンによって撮られた画像は、油を取るヤシの木を栽培したい開発業者から国立公園の土地を守るため、地元組織が政府に申請を行う助けとなります。

最近では、接続サービスが行き届いていない地域でインターネット接続を可能にするという共通の目標を前進させるため、Google社とFacebook社がドローン テクノロジーへの投資を行ってきています。Facebook社は2014年3月にイギリスのドローン メーカーであるAscenta社を買収し、優秀な航空技術者たちを接続提供用の航空機開発の為、Facebook社のConnectivity Labに合流しました。その1ヵ月後、Google社は、高高度を飛行し太陽光を動力源とするドローンを製造し、2012年設立の米国の新興企業、Titan Aerospace社も買収しました

とはいえ、ドローンの用途は屋外に限られません。オランダのハルデルウェイクに本拠を置く原材料取り扱い企業Qimarox社は、倉庫内で、棚から品物を選び取り、パレットの積荷としてまとめるためにドローンを使用することを研究しています

Qimarox社の運営マネージャーであるJaco Hooijer氏は次のように述べています。「収容力と人間工学的な制限のため、大半の消費財メーカーでは、人力で品物をパレット上に積み重ねるやり方は、もはや選択肢にはありません。ドローンを使用すれば、柔軟性と拡張性を人手に頼るよりもずっと高いレベルで維持しながら、パレットへの積載プロセスを自動化できます。」

820億米ドル

AUVSIは商用ドローン テクノロジーの発展により、商業利用開始後の最初の10年間で820億米ドル以上が生み出される可能性があると予測しています。

安全第一

FAAが最近ドローン関連の計画を発表したにもかかわらず、米国の規制当局が小型無人航空機の商業利用に関する安全規則を定めるまでには、長い道のりがあるという点で専門家の意見は一致しており、安全規則が施行されるまではドローンの商業利用は米国以外の拠点で実施されることとなります。

AUVSIのGielow氏は次のように述べています。「当初のドローン商用利用は、見通しがきく日中の有視界運用のみに限定される見込みなので、緊急時にはドローンはすばやく着陸させられます。また、ドローンは一般航空機の下限高度の下、つまり122mを超えない高度で飛ぶことになります。」現在のところ、この制度によって、Amazon社の計画が実現される見込みはなくなっています。「Amazon社の小荷物配達構想に必要なのは、GPSを利用して自律動作するだけでなく、他のドローンや航空機との衝突を避けるため、適切な検出技術を備えたドローンです。そして、こうした検出技術はまだ研究段階にあります。」

より差し迫ったドローンの安全上の重要課題となっているのは、指令と制御に関する検討です。通信が失われた場合に、目視しているパイロットがどのようにドローンを制御するかが重要な懸念となっているのです。専門家は、ハッキングやその他の種類の干渉から通信リンクを保護することも重視しています。

今後の見通し

自律型の無人飛行ドローンは、多数考えられている日常生活を変える可能性を持つ自律型交通輸送構想の先駆けにすぎません。

The Social+Capital Partnershipの創立者で米 国 の ベンチャー キャピタリストであるChamath Palihapitiya氏 は、最 近、McKinsey Global Instituteにおいて「テクノロジーはあらゆる仕事のあらゆる面に大きな変化をもたらします」と語りました。自律型車両/飛行機の構想は、自動車とドローンの両方を含め、国内総生産に著しい影響を及ぼしうる大きな変 化 を も た ら す テ クノ ロ ジ ー で あ るとPalihapitiya氏は信じています。

「一群の小型電気自動車が郵便配達をする光景や、ドローンの編隊が玄関先に誤りなく小荷物を降ろす光景を想像できますか。交通渋滞を引き起こさないトラック部隊が登場したり、あらゆる車両が予測可能な方法で公共交通を提供したりするかも知れません。これらの事柄はすべて、商業と個人の機動性に大きな影響を与える可能性があります。」◆

スキャンすると、オランウータンの生活拠点を調査する保護活動用ドローンをご覧いただけますhttps://www.youtube.com/watch?v=yHLSuiEt5Lw

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