変革を推進する

JLR社の新たな進路に向け舵を切るCEO、Ralf Speth博士

Rebecca Lambert
25 April 2013

Jaguar Land Rover社のCEOであるRalf Speth博士は、世界で最も英国らしさを象徴する二つの自動車ブランドの変革の立役者です。2010年にCEOに就任して以来、Speth氏は収益性のある持続可能な成長の実現に取り組んできました。

Jaguar Land Rover (以下JLR)社の自動車業界における復活は、2010年以来、事業再編と共に、持続可能で収益性のある成長に向けた新たな決意を社内に浸透させてきた同社のCEOであるRalf Speth博士によって導かれてきました。

BMW社を中心に22年以上にわたる欧州自動車業界での経験を持つSpeth氏は、特に困難な状況で逆境に打ち勝ってきた実績があります。他の多くの自動車メーカーが不振に苦しみ、欧州が景気後退で低迷する中、Speth氏のビジネスに対する冷静でプラグマティックなアプローチがJLR社に利益をもたらしています。

自動車業界は状況への適応力が企業の明暗を分ける、非常に変化の激しい業界です。Speth氏は次のように述べています。「経済の不確実性、自由や公平性とはかけ離れた不均衡な通貨制度や貿易メカニズムが今日の世界市場を特徴付けています。一方、お客様によって生み出されたこれまでにない要求が、新しいトレンドを形作ります。現代のモビリティには、未来を見据えたアイデアが必要され、心躍るイノベーションによってあらゆる製品作りのプロセスが変化しています」

Speth氏はCEOの責任とは、高度3万メートルから全体を俯瞰しながら、必要に応じて5メートルの近距離まで接近し、詳細まで掘り下げることだとし、次のように述べています。「同様に、ビジネスのパフォーマンスを日々推進すること、そして組織のパフォーマンス全体を長期的な視点に基づき変革していくことのバランスを適切に保つ必要があります」

未来を見つめて

Speth氏はJLR社の変革の指揮を執る一方で、企業そのものを変えようとしているわけではありません。Speth氏は次のように述べています。「我々は象徴的な二つのブランドを有する優れたパフォーマンス組織を目指し、自社製品のDNAを守り、それに磨きをかけるとともに、プロセス改善を幅広く実施してきました。」JLR社のビジョンとは、同社が最近発表した二人乗りのスポーツカーであるジャガーFタイプ と、オールアルミ・ボディを実現した新型レンジローバーにみられるような、最新のイノベーションを取り入れながら、人々の心をつかむ魅力的なデザインと同社のモデルの真髄である「Britishness(英国らしさ)」を保持することなのです。

30%

2012年、JLR社は世界市場に おいて、2011年よりもさらに 30%増となる、過去最高の販売 実績を達成しました。

Speth氏は次のように述べています。「車は、今もなお、消費者がすぐに利用できる製品の中で最も複雑なものです。当社では、たとえば新型レンジローバーのオールアルミ・ボディや最先端の軽量サスペンション・アーキテクチャのような製品の基礎的な構成から、先進的な各種製造プロセスに至るまで、製品範囲のあらゆる要素に新しいテクノロジーを導入しています」

お客様が第一

Speth氏は、JLR社が最も重視する相手である同社の顧客の要望に応えるよう会社として全力を尽くす取り組みを推進しています。Speth氏は次のように述べています。「当社は世界中で我々のブランドに強い関心と知識を持ってくださっている熱心なお客様に恵まれていることを光栄に思いま す。当社は積極的な活動を展開しているジャガー&ランドローバー・クラブや団体のほか、ブランドの伝統、および今日のブランドに焦点をあてた様々なブランド・エクスペリエンスやブランド・アクティビティを提供しています。ジャガーのクラシックカー・レースやランドローバーのエクストリーム・オフロードチャレンジから、有名なランドローバー・エクスペリエンス・センターのアドベンチャーやツアーに至るまで、我々は当社ならではの最高のエクスペリエンスを提供しています。これらのエクスペリエンスは、当社製品の驚異的な性能を実際に見ていただくだけでなく、当社のお客様との良好な関係を維持する上でも役立っています」

「お客様には、 他では味わえないブランド・ エクスペリエンスに ワクワクしていただけるのでは と思います」

Ralf Speth博士
Jaguar Land Rover社 CEO

Speth氏にとって、最も重要な目標はJLR社の製品とサービスを通じてすべての顧客に喜びと感動を味わってもらうことです。Speth氏は次のように述べています。「お客様には、他では味わえないブランド・エクスペリエンスにワクワクしていただけるのではと思います。私が何を残せるか、という点についてですが、私としてはこの会社を前よりもよい状態で次世代にしっかりと引き継ぎたいという一心で取り組んでいます」

2012年、同社は世界市場において特に英国、中国、米国市場が好調であったことから、記録的な売上となった2011年よりもさらに30%増となる過去最高の販売実績を達成しました。Speth氏の取り組みはすでに目標を実現しつつあります。

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