国際交流から 生み出される新潮流

フランスと中国の学生が3Dでの共同作業を通して お互いの文化を再発見

Dora Laîné
25 October 2012

世界経済に及ぼす中国の影響が拡大し続ける中、西欧諸国と中国の工学系学生が、いずれどこかで仕事を共にする可能性も高まっています。こうした中、中国の清華大学とフランスの高等教育研究省は、共同でイノベーション・センターを北京に設立しました。ここでは中国と西欧諸国の工学系学生が共同で作業を行い、互いの文化が持つ力の真価を知ることができるよう取り組んでいます。

最近中国で開催された2週間の夏季プログラムには、フランスから12人の工学系学生が参加し、プログラムに参加した中国人学生と共に指導を受けて、工学に関する学習と同程度のボリュームで、文化的な多様性が持つ力について学びました。このプログラムは、フランスの教育関係団体AIP-PRIMECAと、中国の清華大学が共同でスポンサーを務める国際交流プログラムによって実現したものです。

2つの文化、2つのアプローチ

2週間のプログラムでは、中国人学生とフランス人学生の混成チームが、詳細設計と製造の両分野にまたがるプロジェクトとしてキック・スクーターの設計に取り組み、最も革新的でオリジナリティに富む設計を考案したチームに賞が与えられました。

最初の2日間は、3D PLMツールの使用に関する全般的なトレーニングが実施され、それに続いて、機械設計と組立設計に関する詳細なコースが提供されました。デジタル・モックアップ、設計手法、製造とシミュレーション、特定製品の設計課題といったトピックがすべて取り上げられました。

清華大学PLMイノベーション・センターのフランス人ディレクターで、AIP-PRIMECAの代表者でもあるNabil Anwer博士は、次のように述べています。「このプログラムの興味深い点は、多文化のグループを編成して、学生たちに共同でシンプルなプロジェクトに取り組ませたことです。文化的背景の異なる学生に共通の課題を与えることが、真の意味での多国間の協力につながったのです。学生たちに、一緒に具体的な成果物を作らせたことで、多くのことが明らかになりました。各グループは、詳細な技術仕様に加えて指示書を作成し、各自の文化的要素を設計に反映させました。その結果、中国とフランスのスタイルが混在する状況を反映したキック・スクーターが出来上がったのです。」

一番大切なのは、効果的なコミュニケーションを図ること、つまり、設計に関するさまざまな 考えを共有し、 それを他の人に対して 表現することです。

Dong Huidong氏
清華大学の学生

異なるからこそ、補完関係が成り立つ

中国人学生が科学技術分野の高度な知識を持っていて、細部まで注意を払う傾向が強いのに対し、フランス人学生は全般的に、全体像を重視していました。Anwer博士は次のように話しています。「フランスの学生は製品の実現可能性や製造の容易さに関連した質問をするのに対し、中国の学生はキック・スクーターの技術的側面を重視しているようでした。また、中国人学生は、フランス人学生の提案に疑念を抱いても、それを率直に指摘することはせず、相手が気分を害さないようにしているようでした。こうした対応は中国文化に固有の側面であり、フランス人学生にとっては非常に独特だと感じられる経験でした。」

しかし、両国の学生たちは、文化的な違いを乗り越え、協力して作業できることを実証してくれました。3D PLMソリューションの活用によって情報の共有が容易になったため、共同作業がより促進されたのです。

清華大学の学生であるDong Huidong氏は次のように述べています。「製品の中心にあるのがアイデアです。一番大切なことは、効果的なコミュニケーションを図ること、つまり、設計に関するさまざまな考えを共有し、それを他の人に対して表現することです。」

文化的な相違は弱になるどころか、プロジェクトに付加価値をもたらしました。フランス人学生のThibaud Germain氏は次のように話しています。「私たちはさまざまな分野で補完関係にあります。たとえば、中国の学生は基本的なメカニズムに関する知識が豊富なので、多様な解決策を見つけることができます。これは、イノベーションには最適な資質です。フランスの学生は、実現可能性や、製造コストをより重視します。したがって一緒に作業すれば、非常に興味深いソリューションを生み出すことができるのです。」清華大学の学生、Xianjun Qu氏は次のように述べています。「フランスの学生は一般的に考え方がユニークで、非常にクリエイティブです。彼らとの共同作業を通じて、新しい角度から多面的に物事を考えられるようになりました。」

どの学生にとっても不都合なことが1つありました。英語で共同作業することの難しさです。英語は、ほとんどの学生がある程度は知っていても、どの学生にとっても外国語です。しかし、3Dを共通言語として作業に活用することで、このギャップを埋められました。

前向きなエクスペリエンス

フランスの学生たちは、清華大学での2週間にわたるプログラムの間に、設計製造に関わる同大学の研究室を訪れ、中国人学生が制作した製品のプロトタイプを目にする機会を得ました。そして特に航空業界に焦点を当てて、AIP-PRIMECA、EADS、ダッソー・システムズ、Systematic Paris-Region Systems & ICT Cluster、Spring Technology、および在中国フランス大使館の科学技術局の担当者からも、科学技術分野における戦略、ビジョン、イノベーションの管理について説明を受けました。さらに学生たちには、Airbus社の北京設計事務所を訪問する機会も与えられました。

3D共通語として作業に活用することで、このギャップを埋められました。

学生たちの経験は、技術と文化の両面で、とても有意義なものとなりました。フランス人学生のMathieu Bernier氏は次のように話しています。「産業界での3D PLMについて学んだだけでなく、中国の文化や伝統をさまざまな角度から学ぶ機会にも恵まれました。」そしてGermain氏は、次のようにこのプログラムを総括しています。「このプロジェクトを心から楽しむことができました。一緒に作業をしているのが中国の学生であることを忘れてしまうほど、本当の意味でチーム一丸となっていたのです。」

AIP-PRIMECAは、フランスの機械、製造工学分野の高等教育機関が連合して結成し、フランス高等教育研究省の支援を受けている全国規模の学術ネットワークです。AIP-PRIMECAの目的は、人材のプール、知識の共有、スキルの強化によって、ネットワークに参加するさまざまな組織の間でシナジー効果を生み出すことにあります。AIP-PRIMECAは、新しい情報通信技術に基づく革新的な教育方法の開発を促進することにも重点的に取り組んでいます。

中国の大学とAIP-PRIMECAは、多年にわたって協力関係にあります。
清華大学に設立された中仏共同運営のPLMイノベーションセンター(PLMIC)は、PLM(プロダクト・ライフサイクル・マネージメント)技術によるイノベーションだけでなく、統合型の設計と製造を目指す両者のパートナーシップを象徴する存在にもなっています。

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