ルーマニアのバベシュ・ボヤイ大学の Mihaela Drăgan氏、Diana Ivana氏、Raluca Arba氏は、ルーマニアのシビウで開催され た21世紀国際経済会議(21st International Economic Conference)向けの論文で次の よ う に 述 べ て い ま す 。「 大 学 は 独 立 し た 存 在 であるとはいえ、顧客の期待を満たすため の機能を果たし、手順を策定しなければな らない。学生と卒業生の満足度を高め、競争 力を維持すべく、大学は企業と同様にビジ ネス・プロセスを管理すべきである」
「 高 等 教 育 は 依 然 と し て 、 保 守 的 で 動 きが遅い産業であるとみなされています。イ ノベーションの大部分は、伝統的な教育IT 組 織 の 外 で 生 ま れ て い ま す 。し か し 、そ う し たイノベーションが教育機関ひいてはその CIOに影響を及ぼすのは時間の問題です」
教育の予測
多くの産業で、企業は市場や顧客、製品の 成功に関する手掛かりを得るためにビッグ デ ー タ を 利 用 し て い ま す 。教 育 者 も 今 や 、ど うすれば最善のサービスを学生に提供でき るのかを理解するために、ビッグデータを 利用しつつあります。
米国ペンシルベニア州のバックネル大学で 図書館・情報技術(Library & Information Technology)担当バイス・プレジデントを 務めるParamBedi氏は、次のように述べて い ま す 。
「教員が一度に教える学生の数や、一度に受け持つ講座の種類が 増えすぎないようにすることが可能です」
米国公立大学システム スケジューリング担当バイス・プレジデント補佐
「 学 生 に 入 学 を 許 可 し て い る 以 上 、キ ャ ン パ ス で 成 功 す る た め の 環 境 を 確 実 に 用 意 す る ことが私たちの務めです」と、Bedi氏。「ほとん どの大学では、1年から2年への進級の間に 最も多く中退者が出ます。そこで、1、2年生の 入学前と最初の学期のデータに注目したとこ ろ、学生が退学を選ぶ特定の要素を突き止 めることができたのです。おかげで私たちは、 データに基づく意思決定を行い、学生の退学 防止を目的としたプロセスやプログラム、介 入を実施することができるようになりました」
このプロジェクトは、2016年秋学期の入学 生を対象に初めて実施されていますが、 B e d i 氏 は 成 功 を 確 信 し て い ま す 。
“EVERY EDUCATIONAL INSTITUTION HAS LARGE VOLUMES OF STUDENT DATA, BUT IN THE PAST WE’VE MAINLY BEEN REACTING TO IT. NOW, WE’RE USING THAT INFORMATION TO DO PREDICTIVE ANALYTICS AND IDENTIFY SOME OF THE THINGS WE NEED TO PAY ATTENTION TO, WHICH ALLOWS US TO MAKE DATA-INFORMED DECISIONS.”
VICE PRESIDENT FOR LIBRARY & INFORMATION TECHNOLOGY, BUCKNELL UNIVERSITY
「これらの多種多様なERPパッケージが原因 で 、私 た ち の ビ ジ ネ ス ・ プ ロ セ ス は 大 い に 混 乱しています。な ぜ なら、どの 学 部 および 関 連部署も、特定の方法で何かを行うことに 慣れ過ぎているからです」と、Bedi氏。「現時 点 で は 、1 つ の こ と を 行 う の に お そ ら く 1 0 通 り の 方 法 が 存 在 し ま す 。し か し 私 た ち は 、そ れらの間の共通点に注目し、方法を標準化 す る こ と を 目 指 し て い ま す 。こ う し た ベ ス ト ・ オブ・ブリード・ソリューションの並立はキャ ンパスに多少の混乱をもたらしてはいます が、バックネルのこれまでのやり方ではな く 、ベ ス ト ・ プ ラ ク テ ィ ス に つ い て 考 え る た め に大いに役立っています」
成功に向けたスケジューリング
「ACSBシステムの目的は、講座のスケジュー リ ン グ ・ プ ロ セ ス を 単 純 化 す る こ と で 、ス ケ ー ラ ビ リ テ ィ を 高 め 、コ ス ト に 直 結 す る 超 過 を な く し 、講 座 の ク ラ ス に 学 生 が い つ で も 登録できる状態を確保し、教員のスケジュー リ ン グ を 最 適 化 し 、ス ケ ジ ュ ー リ ン グ の プ ラ ク テ ィ ス を 標 準 化 す る こ と で し た 」と 話 す の は 、A P U S の ス ケ ジ ュ ー リ ン グ( S c h e d u l i n g ) 担当バイス・プレジデント補佐を務める Brian Blodgett氏です。「このツールのねら い は 、プ ロ グ ラ ム ・ デ ィ レ ク タ ー の 管 理 業 務 を減らし、プロセスのスケーラビリティを高 めて成長に対応するために、スケジューリン グ ・ プ ロ セ ス を 自 動 化 す る こ と で す 。教 員 の ス ケ ジ ュ ー リ ン グ を 手 作 業 で 行 う こ と は 、持 続 可 能 な ビ ジ ネ ス・プ ラ ク テ ィ ス で は あ り ま せん」
ACSBシステムは2013年3月、わずか3人のス ケ ジ ュ ー リ ン グ・チ ー ム に よ っ て 運 用 が 開 始 さ れ ま し た 。こ の シ ス テ ム に よ っ て A P U S は 、 1 年 を 通 じ て 教 員 ・ 学 生 数 と 講 座 の 量 の バ ラ ンスを取りながら、講座への教員の割り当て を最適化した年間スケジュールを策定でき るようになったのです。
「年間を通じて常勤の教員の割り当てを最 適化することは、非常勤の教員と給与制の 常勤の教員がいるという点で、予算の精度 を 上 げ る た め に も 役 立 ち ま す 」と 、B l o d g e t t 氏。「自動化されたツールがあれば、スケ ジ ュ ー ル の 立 て 方 を 標 準 化 し 、ベ ス ト ・ プ ラ クティスの実践を確実なものにするために も な り ま す 。例 え ば 、教 員 が 一 度 に 教 え る 学 生の数や、一度に受け持つ講座の種類が増 えすぎないようにすることが可能です」
文化の変化
デジタルでつながった世界において、デー タ主導のプロセスは学生と教育者の期待を 同 じ よ う に 変 え つ つ あ り ま す 。例 え ば 、オ ー ストラリア国立大学(Australian National U n i v e r s i t y : A N U )で は 、I B M の ソ フ ト ウ ェ ア ・ スイートBusiness Analyticsを導入し、かつ ては30件のITシステムにばらばらに保管さ れ て い た 情 報 を 収 集 、検 証 、分 析 、提 示 を 全 て 一 括 し て で き る よ う に し た と こ ろ 、職 員 の 間で生じる議論の種類が変化しました。
「『カスタマー・ジャーニー (顧客の旅)』の議論などといった サービスユーザーに関する専門用語が 教育にも浸透しつつあります」
グラスゴー・カレドニアン大学 デジタル学習部門 上級講師
「『 カ ス タ マ ー ・ ジ ャ ー ニ ー 』の 議 論 な ど と いったサービスユーザーに関する専門 用語が教育にも浸透しつつあります」と、 M a c N e i l l 氏 。「 学 生 も 、 イ ン タ ー ネ ッ ト シ ョ ッ ピングやソーシャルメディアなどの日常生活 で 、デ ー タ や 格 付 け 、指 標 が 使 用 さ れ る こ と に以前よりも慣れています。これは教育の文 脈ではまだ一般的ではありませんが、バラン スは変わりつつあります」
ビジネス・プロセスは教育機関がデータを 最大限に活用するために役立つ可能性があ るものの、データの利用に対しては厳格で 倫理的なアプローチで取り組む必要がある とMacNeill氏は指摘しています。