Marine & offshore

乗組員がいない船

Rebecca Lambert
24 June 2018

Yara Birkelandは、世界で初めて完全自動化された電気推進コンテナ船の1つで、2018年後半に進水し、2020年までに完全に自律航行することが予定されています。他にも同様の船が建造中で、インテリジェント・ソフトウェアに依存して安全に航海する新世代の船の出現を示唆しています。

フィンランド西岸にあるヤーコンメリ試験海域では、その一部が自律航行船の試験のために確保されています。フィンランドを拠点とする官民合同の技術革新の中心であるDIMECC(Digital, Internet, Materials and Engineering Co-Creation)が管理する、乗組員なしで安全に航行する船の試運転に利用できる世界初の試験海域の1つです。

DIMECCは、2025年までに、自律航行の基準設定を支援することを目標にしています。DIMECCは、そのOne Seaイニシアチブを通して世界中の海事専門家と連携し、安全で持続可能な将来の技術開発のために、研究プログラムの発足、業界リーダーの教育、適切なルールと規制の確立を進めています。

このグループの活動の背景にあるのは、自律航行の技術が船主にとって大きなメリットになるという確信です。

「主なメリットは、安全性、持続可能性、コスト効率性が向上し、新たな収益モデルを創造できることです」と、One SeaのリーダーであるPäivi Haikkola氏は語ります。「自律化が進めば航海の安全が向上します。事故の多くは人為的なミスで発生しているためです(保険会社のアリアンツ社は、事故の75~96%は人為的ミスに起因すると推定しています)。資本的支出と運営費の両方を削減できるため、コスト効率も向上します。たとえば、航海計画の作成と実行の精度が向上すると、燃料消費が減少します」

2016年にデンマーク工科大学がまとめた報告書「A pre-analysis on autonomous ships(自律航行船の事前分析)」は、この技術の可能性に関するHaikkola氏の主張を裏付けています。報告書は、乗組員とサポート人員を減らすことで、企業はコストを大幅に削減できることを示しています。この効果は沿岸を航海する小型船舶に顕著で、これには島を結ぶ小型フェリー、タグボート、はしけ、補給船などが含まれます。

船の優先順位付け

「規制と技術的な限界のため、自律航行する最初の船は沿岸水域と内陸水路を航行することになるでしょう」と語るのは、デンマークの運送会社A.P. Moller – Maerskグループで技術革新を担当する、シニア・イノベーション・マネージャーP. Michael A. Rodey氏です。「この部分は最もリスクが低く、接続性に優れ、安定したビジネス・ケースで、技術的な課題が最も少ないのです」

Maersk社はロールス・ロイス社を含むパートナー会社と連携して、遠隔操作の自律航行技術の可能性を調査しています。2017年11月に、世界初の遠隔操作による商業船Svitzer Hermodを進水させました。2018年4月には、新しいアイスクラス等級のコンテナ船Winter Palaceの1隻に、米国を拠点とするSea Machines Robotics社が提供する知覚および状況認識技術を搭載して試験を実施していることを正式発表しました。

しかし、Maersk社は、完全に自律航行する無人船を目的としているのではありません。

「2025年までに公海で遠隔操作できる船を実現し、その5年後には無人の外洋航行船がありふれた光景になると予想しています」

OSKAR LEVANDER 氏
ロールス・ロイス社船舶部門 技術革新担当バイスプレジデント

Svitzer Hermodを例に挙げるなら、これは船が認可された2015年の技術的観点に基づいて推進されました」とRodey氏は語ります。「当時、自律航行船は現実味のある技術として検討が始まったばかりでしたが、Svitzer社(Maerskグループの曳船サービス会社)ではその数年前から、すでにいくつかの構想を練っていました。Svitzer Hermodは、技術開発を推進するための概念実証として始動され、事実と虚構を区別することと、技術が機能し、安全で付加価値があると実証することがその目的でした」

進展する技術

一方、ノルウェーの海事技術プロバイダーKongsberg社は、2018年に進水するオープントップ・コンテナYara Birkelandに技術を提供しています。Kongsberg社は、この船舶が、排出物ゼロでバラストを使用しない、世界初の完全電化された自律航行するコンテナ船であると公表しています。Kongsberg社は、遠隔操作の自律航行に必要なセンサーと統合を、電気駆動装置、バッテリー、推進制御システムとともに提供しています。

Yara Birkelandは2020年までに、ノルウェー南部の3つの港間で、沿岸から12海里以内の海域を乗組員なしで航行する予定です。運航時には、この船は3つのセンターから遠隔で監視されて、緊急事態と例外への対処、状態監視、運用監視、意思決定支援、自律航行船とその周辺、その他の安全面での監視が行われます。

「簡単に言うと、船舶用の高度に自動化されたナビゲーション・システムには、センサー(カメラ、ライダー、レーダー、AIS、GPS、コンパス)、接続(4G/5G、衛星、メッシュ)、ソフトウェア(衝突防止、ナビゲーション、船の健全性管理のアルゴリズム)の、3つの重要な技術が必要です」とRodey氏は語ります。

Rodey氏は、船の自律航行が可能であっても、企業には完全に人の介入なしで船を運行するつもりはないと言います。「多くの人は、自律航行とは人の介入がないことだと思いがちです。海運業界で、これはナビゲーションのみを意味しているのでしょうか、それとも船全体でしょうか。船は非常に厳しい環境で稼働する複雑な機械装置で構成されているため、維持するために人の介入をまったく必要としない船などはありません。同様に、自律したナビゲーションについても、真に知覚力のある人工知能が開発されない限り、運用にはまだ人の介入が必要で、そのような人工知能は私たちが生きている間に実現することはないでしょう」

可能性ではなく時間の問題

2017年4月の『World Maritime News』のインタビューで、ロールス・ロイス社のエグゼクティブは、この技術は10年以内に一般的に使用されるようになると語りました。

記事によると、「2025年までに公海で遠隔操作できる船を実現し、その5年後には無人の外洋航行船がありふれた光景になると予想しています」と、ロールス・ロイス社船舶部門の技術革新担当バイスプレジデントOskar Levander氏は語っています。

One SeaのHaikkola氏も同意します。

「可能性があります。我々のエコシステムの参加者はすべて、各分野で最も優れた専門家であるためです。また、現在発注されている多くの船の仕様には、すでにこの技術が含まれています」

それでも、自律航行船が真に世の中で運用されるには、まだなすべきことが残っています。

「自律航行技術でできることとできないことが、一般的にもっと受け入れられ理解される必要があります」とHaikkola氏は語ります。「また、自律航行技術に適合したルールも必要です」

Maersk社のRodey氏の意見も同じです。

「国内でも国際レベルでも規制が追いついていません。同様に、技術も着実に進歩していますが、まだ実証されておらず、コストが高過ぎます。とはいえ、事態は急速に動いています。今後1~2年に、最初の自律航行船が公開されるのを見ることができるでしょう」

For information on Marine & Offshore solutions, please visit:
http://go.3ds.com/o2k1

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