ガートナーの企業戦略グループが実施した調査『2017 Public Cloud Trends』によると、パブリッククラウドサービス市場は 2017 年だけで 18% 増の 2,468 億米ドルに達する見込みです。この急成長から分かるように、大手テクノロジー企業のアマゾンウェブサービス、マイクロソフト、Google、IBM などが開発したプラットフォームは急速に人気を拡大しつつあります。サーバーのホスティング、コラボレーションの向上など、その目的はさまざまです。
業界や規模にかかわらず、あらゆる企業がもはや採用しないわけにはいかないクラウド。その主なメリットを以下に挙げてみましょう。
• アグノスティック: パブリッククラウドのアーキテクチャは、Android、Apple iOS、Microsoft Windows、Linux といった標準的な OS のほとんどに対応しています。また、スマートフォン、タブレット、ノート PC、デスクトップ PC のすべてに一貫したユーザーエクスペリエンスを届けます。
• アプリケーションとアップデート: パブリッククラウドにすると、IT インフラの運用、保守、更新から解放され、そのためのコストや時間も不要になります。クラウドプロバイダーがすべてのハードウェアやソフトウェアの更新を管理するため、最先端のセキュリティ機能で常にデータが保護される上に、業務アプリケーションでは自動的に最新機能を利用できます。
• コラボレーション: クラウド技術は、インスタントメッセージ、テレビ会議、電話会議、グループチャット、電子メールなどのセキュアなツールにより、同僚、パートナー、顧客とのコミュニケーションやコラボレーションをスピードアップさせます。アプリケーションデータはクラウド上で処理、保存されるため、アクセス権さえ持っていれば、絶えず更新される情報をいつでもすぐに利用できます。
• コスト管理: オンプレミスのサーバーやデータセンターの場合、24 時間 365 日対応でインストール、電力供給、稼働、保守、更新する費用に加えて、巨額の先行設備投資も必要です。クラウドコンピューティングの場合、こうした設備投資(CAPEX)を管理しやすい運営費(OPEX)に移行できます。また、データの使用状況を数値化することで、各部門の負担するべき費用を明確化できます。クラウドプロバイダーのラックスペースが小売業者を支援した事例では、データセンターの運用をオンプレミスからクラウドプラットフォームに移行させ、3 年間で 37% のコスト削減を成功させました。
• モビリティ: パブリッククラウド プラットフォームには高い処理能力と充実した機能が備わっているため、主要な業務アプリケーションをサポートするだけでなく、あらゆるユーザーのあらゆるデバイスや OS に多彩なサービスを提供できます。モバイルからでも、グローバルなマーケットプレイス、セキュアなストレージ、バックアップデータ、大容量のデータストアにアクセス可能です。カスタムアプリケーションを開発する企業が増える中、モビリティの考慮はますます重要になっています。「エンドユーザー向けのソフトウェアアプリケーションを複数の従業員が複数のデバイスで使用する場合、クラウド上で 1 バージョンだけを保守する方が簡単です」と、調査会社のオーバムでエンタープライズサービス担当のシニアアナリストを務める Ian Brown 氏は話します。
• 拡張性: オンプレミスの IT システムを運用するには、処理要求のピーク時に十分耐えうる演算能力、データストレージ、ネットワーク容量が必要です。つまり、システム能力の大部分は長時間待機しているだけということです。「クラウドプラットフォームなら、その時々の要求に応じた能力を借り受け、ほぼ瞬時に展開することができます」とオーバムの Brown 氏は説明します。「新しいユーザーの追加や新しい事業のサポートが必要になったときは、クラウドプラットフォームのセルフサービスポータルを使用して、バーチャルマシンとストレージを簡単に追加、設定することもできます」
• セキュリティ: 最近は理解が広がりましたが、クラウド事業者はオンプレミスより高い安全性を確保できるリソースとスキルを持っています。クラウドコンピューティングでは、アクセス権があればどこからでもデータを利用できる一方で、サプライヤーやパートナーはデータをダウンロード、コピーする必要がありません。これは知的財産の保護につながります。インテルセキュリティとマカフィーが発表した 2017 年のレポートによると、例えば、機密データの一部または全部をパブリッククラウド プラットフォームに保存している企業は 85% にのぼります。
• シンプル: 大手クラウドプロバイダー各社が開発した強力なサービス指向アーキテクチャは、一般に定着している標準やベストプラクティスに基づいて、複数のアプリケーション間で共有、再利用可能なサービスを実装します。企業にとっては、重要なビジネスリソースやデータの保存、エンドユーザーへの提供が容易になるということです。
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