Biomodex社

救命医療処置のシミュレーション

Rebecca Gibson
7 July 2020

米国の脳動脈瘤基金(Brain Aneurysm Foundation)によると、破裂脳動脈瘤は全症例の約 50%が致命的であり、破裂を修復するための手術は複雑で時間がかかります。そのため、医師が未破裂動脈瘤を特定したときに、それを迅速かつ効果的に治療できることが重要です。このような状況で役立つのが、フランスと米国に拠点を置くデジタルヘルス企業のBiomodex社と、同社が開発した、患者の動脈瘤を3Dプリンティングで出力した「解剖学的(アナトミカル)ツイン」です。

医師がこのプロセスを開始するために行うのは、米国のHIPAA法に準拠したBiomodexのポータルに、匿名化された患者の診断情報と画像情報(CTAスキャンまたは3D血管造影図)ををアップロードすることだけです。アップロードされた電子ファイルはセグメント化され、独自開発した生体力学的アルゴリズムにかけられた後、患者の動脈瘤を解剖学的(アナトミカル)に正確に表現した 3Dプリンティングモデル、つまり「解剖学(アナトミカル)的ツイン」が生成されます。その後、この3Dプリンティングモデルは医師に配届けられます。

このプロセス全体が5日未満で完了します。患者ごとに異なる脳血管系を正確に複製し、生体組織の仕組みを再現した3Dプリンティングモデルを使うことで、医師は手術前におおまかな手順を決めておくことができます。これを実現するために、3Dプリンティングモデルは血流やX線透視像を再現できる専用機器に読み込まれます。

Advocate Health(米国の総合病院)で脳卒中対策チームのディレクターを務めるDemetrius Lopes 氏(医学士)は、次のように述べています。「とても使いやすく、現実世界で作業しているように感じました。複雑な人体組織を扱いながら画像を取得し、血管をシミュレートできることに感銘を受けました。すべてが素晴らしく期待どおりで、最善の状態で手術に臨めるようになりました」

実際、Lopes氏は、3Dプリンティングされた「解剖学的(アナトミカル)ツイン」が、医師にとって複雑な手術に備えるための頼れるオプションになる日が近いと予測しています。「手術を実施する前に手順を確認しておけることは非常に貴重な経験であるため、これらのソリューションは世界基準になる可能性があります。診断を行い、手術の練習を事前に行ってから、実際の処置に進むことができるようになります」

Biomodex社のCEO、Ziad Rouag氏は次のように述べています。「当社のビジョンは、術前計画に革命を起こし、より安全な医療処置と治療成績の改善につなげることです。私たちは、医療機器メーカーや画像処理企業、そして意欲に富む医師の皆さんと連携することで、機器のトレーニング、臨床試験のサポート、より患者とその症例に即した手術の準備といった有益な効果が見込めるものと考えます。これまでに何度も、FIH試験(ヒト初回投与試験)前に症例を3Dプリンティングしてもらってきたことは大変光栄です。このテクノロジーは私たちの未来と同様に進化し続けており、サポートの対象範囲も今後さらに拡大する見込みです」

ダッソー・システムズは、3DEXPERIENCE Labを通じてBiomodex をサポートしています。

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