競争優位性

業績トップクラスの企業は 「第3のプラットフォーム」のテクノロジーを活用

Dr. Christopher Holmes
7 June 2014

いわゆる「第3のプラットフォーム」を構成するテクノロジーの登場により、情報テクノロジーは新たな時代を迎えました。第1のプラットフォーム時代はメインフレームと端末、第2のプラットフォーム時代はLAN/インターネットとクライアント/サーバーでした。そして2014年、私たちはクラウド・コン ピュー ティング、モ ビリティ、ビッグ データ/アナリティクス、ソーシャル ビジネスから成る第3のプラットフォームの時代に入りました。

これらのテクノロジーの融合は、産業界に大きな影響を及ぼします。意思決定を支援するインテリジェント・マニュファクチャリングから、各消費者に合わせた提案を直接届けるシステムまで、あらゆる産業がテクノロジーによって効率化、俊敏性、革新性を高め、顧客中心主義を強化できるようになります。

第3のプラットフォームは、その利用により、新たなビジネス モデルの実現や企業の新規参入の機会が生まれ、顧客や消費者がまったく新しい方法で関与できる様になるなど、大変革をもたらす力でもあります。

業界特化型のアプリケーション

これらの変化の多くは、第3のプラットフォームを介して提供される業界特化型のアプリケーションによって実現されます。たとえば製造業は、需要を重視し、デジタルに処理されるデータ駆動型の3Dバリュー チェーンを作り出すアプリケーションの恩恵を享受することとなります。行政においては、「スマート シティ」実現のためのアプリケーションで都市を一体化し、経済的および社会的な成功を促進できます

小売業は、購買行動が実店舗、オンライン、モバイル デバイスのどれを介して行われるかを問わず、パーソナライズされた顧客エクスペリエンスが一貫して得られる「オムニチャネル モデル」に移行し、またヘルスケアでは患者の関わりや転帰の改善を重視する、患者を中心に据えたモデルへの転換がもたらされます。

プロフィールIDC社のInsights事業のアジア太平洋地域の代表を務めるChristopher Holmes博士 は、同 地 域 にお けるIDC社 のEnergy Insights、Government Insights、Health Insights、Manufacturing Insights、Retail Insightsの各部門が実施する調査を指揮する責務を担っています。また、IDC Manufacturing Insightsの国際担当代表としてIDC Manufacturing Practiceの責任者も務めています。IDC Manufacturing Practiceは、主要なプロセス領域における製造業の能力向上を支援するベストプラクティスやITに関する調査分析サービスを提供しています。

これらの移行を可能にするアプリケーションはすべて、第3のプラットフォームを構成する4つのテクノロジーの融合によって支えられます。しかし、これらの新しいテクノロジーへの関心と採用の状況は、業界によってさまざまです。

たとえば、小売業ではすでにその価値がよく認識されている「クラウド」は、製造業の場合、コスト削減、そして最近では新しいビジネス モデルが重視されるようになるにつれて、ようやく採用が進みつつあります。

モビリティについては、企業が接続性の強化をサポートし、業務効率を向上させ、新興国におけるサプライ チェーンの可視性を始めとする新しいビジネス モデルを支える取り組みを進めるなか、あらゆる業界で広く取り入れられています。

一方、金融と小売りの分野では、消費者行動に対する理解を深め、それに応じた商品やサービスの提供を行うことでより効果的に販売に結び付ける狙いから、ビッグ データの分析に重点が置かれる一方で、ソーシャル ビジネスの分野ではサービス事業者がエンタープライズ ソーシャル ネットワークの採用を積極的に進めています。

大掛かりな変化

IDC社では第3のプラットフォームの時代が2020年まで続くと考えており、それが企業によるテクノロジーへの支出増の大部分を占めるだろうと予測しています。また、テクノロジーの選定の際には、企業の経営者の影響力が高まり、テクノロジーがもたらすビジネスバリューと、プロセスを重視したテクノロジーの必要性の両方が意思決定に反映されることになるでしょう。

多くの組織にとって課題となるのは、こうした変化を形にするためのスキルをどのように手に入れるかです。新しいテクノロジーの場合はいずれも、組織に確立されたスキル ベースがないため、社員のスキルアップとIT部門全体のスキル ベースを変えるための投資が必要です。

第3のプラットフォームを中心にイノベーションを進めている企業とそうでない企業の間には、すでにビジネスのパフォーマンスに差が現れています。今後数年間は、第3のプラットフォームがもたらす新たな基盤、エンゲージメント、そしてビジネスモデルを通じて、企業のビジネスプロセスは大きく変化し、大変面白いものになることでしょう。」 ◆

スキャンすると、Crawford del Prete氏が第3のプラットフォームについて説明する動画をご覧いただけます http://www.youtube.com/watch?v=9v0HGxkjv-o

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