題多くの消費者にとって、自動車のオ プションや新しいキッチンの設備 を選択するのはやっかいなことで す。どれだけ多くの生地見本やカラーチャー ト を 検 討 し た と し て も 、製 品 が 届 く ま で 、選 ん だ も の が ど の よ う に「 感 じ ら れ る か 」を 知 ることはできません。そして届いたあとで は 、変 更 す る の に 多 額 の 費 用 が か か っ た り 、 変 更 が 不 可 能であったりします
しかし消費者に優しい仮想現実(VR)が利用 可能になったことで、複雑な製品のマーケティ ングがずっと容易になりました。それは、製品 がまだ存在しない場合であっても同様です。
V R 用 の ヘ ッ ド マ ウ ン ト デ ィ ス プ レ イ( H M D ) を製造しているHTC Viveの、B2B(企業向け) バーチャル・リアリティー部門バイス・プレジ デントであるHervé Fontaine氏は次のように 述べています。「2Dのカタログや、ウェブで平 面画像を作るだけでは、購入の決め手にはな りませ ん 。エクス ペリエンスとV R を 合 体させ て、実際に見せて初めて信頼を勝ち取れ、より 多くの人に進んで購入していただけるのは明 白です」
カーをVRに設定する
たとえば「Audi VRエクスペリエンス」では、ア ウディの3DモデルをViveを使用して没入型 のエクスペリエンスに変えています。没入環 境に入っている間に、消費者は70種類のオプ ションのほか、色や内装を選択します。全部で 1,000種類に及ぶ組み合わせから、自分にとっ て理想的な自動車が生まれます。仮想空間で、 完成した車の周りを歩くときには、ボンネット を上げてエンジンを確かめたり、身をかがめ て下部構造を見たりすることができます。
Once we get to incorporate an experience with VR, common sense says that more people will be ready to buy because they will trust more in what they see.
Vice President, B2B Virtual Reality, HTC Vive
VRで不動産の状況を 理解しやすく
マンションなどの不動産物件の販売は困難 ですが、それは一部には、買い手が物件の状 況を把握できる機会が限られているためで す。たとえばリゾート物件は、レンタルのハイ シーズン中に見学することはできません。転 居しようとしている買い手は、候補の物件を 訪れることができるのが週末に限られてい るかもしれません。建設前の住宅は、そもそも「実物の」部屋や内装を見ることができませ ん。しかし、不動産業者がVRでの見学会を企 画すれば、話は別です。
フランス、スペインおよびイタリアで事業を 展開するデベロッパーのAltarea Cogedimグ ループは、そうした業者の一つです。最近ま でCogedimグループは、建設前の物件をイ メージする助けになるように、見込み客に実 際の青焼き図面と、デザイナーの完成予想図 を 見 せ て い ま し た 。今 で は 、そ れ ら に 代 っ て VRを使用しています。
「ある決定が持ち上がったときには、紙を切り 出してグラフ用紙の上でいじり回すのではな く、実際の家の仮想模型をさまざまな方向に 動かせます。バーチャルな手段でその空間に いることが、信頼のおける決定として承認さ れる助けになります」(Pavageau)
VR店舗の大きな満足
VRは、小売店舗の舞台裏でマーケティング のためにも使用されています。その目的は、 消費者がちょっとした品物を購入する場合で も、より容易に楽しく購入できるようにするこ とです。それによって、小売業者やブランドへ の思い入れが高まり、売り上げが拡大します。
たとえば、北フランスのShopping Innovation Lab(Silab)では、小売業者やメーカーが、店 舗全体の設計から棚の上で特定の品物を置 く位置に至るまで、ショッピング・エクスペリ エンスのコンセプトをまとめています。小売 業者や製品メーカーは、Silabが提供する最 新の没入型テクノロジー、低いコストで利用 できます。
Silabの開発担当ディレクター、Jean-Michel Flamant氏は次のように述べています。「私た ちが通常取り組んでいるのは、どのように製 品を見せ、店舗を構成するのかに加えて、消 費者は店内をどのように回遊するかといった 課題です。これらは、仮想環境で取り組めば ずっと早く、少ない費用で行えます。以前は、 物理的な模型で店舗設計を検証していまし た。レイアウトに問題があることが分かった 場合は、最初からやり直して作成する必要が ありました」
Silabでは、小売業者の店舗設計の支援に加 えて、消費者製品メーカーが自社製品の理想 的な棚配置を突き止めるためにも役立って います。
「没入型の3Dはすばらしいコミュニケーショ ン・ツールです。私たちは、どれが最も有効で あるかの答えを得るために、5つのマーチャ ンダイジング・オプションを試しています。こ うしたオプションは、新製品の陳列方法につ いて、ブランドがより容易に販売店を納得さ せるために一役担っています」とFlamant氏 は語ります。◆