エクスペリエンスの声

ダイソン社CEO サー・ジェームズ・ダイソン著

SIR JAMES DYSON
25 April 2013

サー・ジェームズ・ダイソンは紙パック不要の掃除機ラインナップであるダイソンボール、羽根のない扇風機、高速ハンドドライヤーやその他革新的な製品のメーカーであるダイソン社の創業者でチーフ・エグゼクティブです。

中国は長い間安価な量産品のメッカとして知られてきました。しかしここにきて世界の工場というイメージから脱却し、発明、特許、アイデアにおける世界的リーダーを目指しています。中国政府は世界クラスの技術を開発して初めて真の利益を享受することができると理解したのです。

2011年、中国の特許出願件数は世界全体の4分の1を占め、米国を抜いて1位となりました。中国がこのままの勢いで特許出願を続け、その有効率を維持すれば、こうした例外的な状況は通常化するでしょう。

特許申請には発明が必要です。中国とインドはこの点抜きんでており、年間100万人の学生がエンジニアリング系の学校を卒業しています。アメリカ、イギリスは大きな後れをとっています。子供たちのエンジニアリングに対する興味を掻きたて、未来への希望を与えるのは私たちの責任です。

まさにそのために、私はエンジニアリング財団をアメリカ、シカゴのダイソン本社にもっていったのです。若い人々に刺激をあたえ、彼らが常識にとらわれず、間違いを恐れず、創意工夫をすすめられるようにするためです。ラピッド・プロトタイピング、ワークショップ、解体キット、アフタースクールプログラムと様々な取り組みを進めています。

とりわけ重要なのは、子供たちにデザインプロセスを紹介し、エンジニアリングには計算や学校の成績以上の何かがある、ということをみせるようにしています。

ダイソン社の社員の3分の1は流体、メカ、エレキ、化学、音響、ソフトウェア技術といった専門分野のエンジニアか科学者です。当社の研究開発投資は過去5年で4倍に増えています。今や研究開発投資額は一週間あたり150万ポンドを越えています。

「若い人々に刺激をあたえ、彼らが常識にとらわれず、間違いを恐れず、創意工夫をすすめられるようにするためです」 

サー・ジェームズ・ダイソン
Dyson Ltd. 創業者

ダイソンのエンジニアはまずフラストレーションからスタートします。それからより深く考え、アイデアを持ち寄って試行錯誤を繰り返すのです。手法に縛られることはありません。思い切ったアイデアのほうがいいのです。「間違った思考」と我々は呼んでいますが、型破りな思考が、やがて実現の可能性を持った何かに発展するのです。

着想を得たら、今度はそれを実際の形にする、つまり製造する必要があります。製造業とは複雑なものです。技術改良、生産率の向上、サプライチェーンへのシフトにより製造は安価になりましたが、良い製品を作るのは難しくなりました。しかし、これは変化しています。製造は自主性を強め、従来のルールは通じなくなります。新しい財務、生産方式を通じて、プロセスがシンプルになり、仲介業者はなくなるでしょう。

発明も一般に浸透してきました。たとえば、3Dプリンティングが注目を集めています。素早い製造が可能になり、以前なら高価な生産ツールがなければ作れなかった部品が複製できるようになりました。スタートアップ企業は直近では、3Dプリンティングで試作品を製作、テストできるようになります。設計にコンピュータを使用し、自分のデザインを作成、微調整することで、数時間でモデルが作成できるのです。発明において非常に重要なこのプロセスを、ダイソンをはじめとする多くのメーカーが実施しています。

新しいアイデアが社会を進化させ、成長を促します。クリエイティビティは電気自動車、クリーンなエネルギーといった革新的な技術を生み出します。意欲ある設計者たちは素晴らしいアイデアを、世界が求める製品に変えるのに我々の支援を必要としています。

Related resources