3Dプリンティングで個別化医療

オーダーメイド義肢制作のMercuris社の事例

Jacqui Griffiths
7 July 2020

義肢を必要とする子供が、大人用サイズか木製のものしか手に入らない世の中を想像してみてください。生まれながらに左足が欠損していたドイツの少女、エマにとってはまさにそれが現実でした。

エマの家族はミュンヘンを拠点とするスタートアップ企業Mecurisに助けを求めました。同社は、医療技術のプラットフォーム経済とデジタル化のパイオニアであり、拡張可能な3Dコンピューターモデルと3Dプリンティングのプラットフォームを用いて設計したオーダーメイドの義肢装具を専門に扱っています。Mecurisは2019年11月、ディープテック分野でその年に最も目覚ましい活躍をし、欧州のデジタル化と経済成長に貢献したスケールアップ企業を表彰するEIT Digital Tech Founders’ Awardのデジタル・ウェルビーイング部門を受賞しました。

MecurisのCEO、Manuel Opitz氏は次のように話します。「ドイツでは義足を必要とする子供の数が非常に少ないため、大手メーカーでは子供用サイズの在庫を用意していません。ですが当社にとっては、材料の厚さの最小限度などの要件を満たしつつ、大人用の義足のデジタルモデルをスケールダウンすることは容易でした」

Mecuris社は、3Dコンピューターモデルと3Dプリンティングによって設計したオーダーメイドの義肢装具を生産しています。(画像 © Mecuris)

エマが新しい義足をつけて嬉しいと思えることが重要だったため、彼女の動きや成長を考慮したフィット感を実現しつつ、女の子が好みそうなデザインにする必要がありました。彼女が大好きな色と動物のモチーフを取り入れることが必須条件でした。

Opitz氏は次のように述べます。「実際に義肢を使用する人の希望を聞くことが重要です。どんなに良い装具でも、使用する人が受け入れてくれなければ価値がありません。受け入れてもらうためには、個別にデザインすることが非常に重要です。」3Dプリンティングのおかげで、機能、色、形状に制限はなくなりました。これは現代の義肢装具開発において画期的なことであり、同社は認定義肢装具士とともにさらなる発展に取り組んでいます。

エマは馬の装飾が施されたピンク色の義足をとても気に入っています。同じ年の他の女の子たちと同じように走ったり、踊ったり、飛び跳ねたりできるようになり、前よりも自分に自信を持てるようになりました。彼女の義足はとてもおしゃれで、「自分もエマのようなピンクの足が欲しい」と言った友達も何人かいます。

3Dプリンティングはエマに希望どおりの義足を与えただけでなく、新しいバージョンを素早く、従来の方法よりも低コストで作ることも可能にしました。この点は、数ヵ月に1回義足を新しく作り替えなくてはならないような育ち盛りの子供にとって特に重要です。

3Dプリンティングの技術を使用すれば、エマの成長に合わせて最適な大きさの義足を手頃な価格で作成することができます。Mecurisでは、反対の足の長さなど、1回の測定をもとに新しい義足の形とサイズをダイナミックに推測できるジェネレーティブデザインという手法を用いることで、素早く簡単に調整を加え、より大きいサイズの義足をプリントできます。Opitz氏はこう話します。「私たちはモデルを拡大して極めて短期間で新しいバージョンをエマに提供できます。以前作成した3Dファイルを使うこともできますし、いくつかのパラメーターを修正してより大きいデザインのものを作るのもあっという間です」

そして、エマの好みの変化とともに、義足をつけることを彼女が誇りに思えるようにするための重要な要素も変わってきます。エマは次に、青い義足と、お出かけ用に防水加工が施された赤い義足もリクエストしているようです。

Mecuris社について詳しくはこちら

Related resources

Subscribe

Register here to receive a monthly update on our newest content.