人は変化を嫌う。これは、広く知られる 通念で科学者も例外ではありませ ん。しかしそれは、まったくのでたら めでもあります。私たちは絶えず変化してい るのです。結婚し、子どもをもうけ、転職する。 旅行し、新しい言語を身に付け、食べたこと のないものを味わう。そして、最新のテクノロ ジーを求めて行列を作る。
では、「人は変化を嫌う」というこの通念は、ど こから来たのでしょうか。20年近いチェンジ・ マネジメントの経験から、私はこう確信して います。変化が自分で選んだものではなく、 押し付けられたものであるとき、人は抵抗す るのだ、と。
職場に新しいテクノロジーを導入するときの ことを考えてみましょう。情報を入力するよう に求められても、何の見返りも得られないと すれば、あなたはそのテクノロジーを使わな いでしょう。データを入力するのと、直接的な 利益――期日に間に合うことや、成果物の完 成など――をもたらす20の行動が省略でき るのならばデータ入力を選ぶはずです。
「変化が自分で選んだものではなく、 押し付けられたものであるとき、人は抵抗するのです」
LEANDRO HERRERO氏
VIRAL CHANGE GLOBAL社 マネージング・パートナー、 THE CHALFONT PROJECT社 共同創設者
リーダーとして変革を実施する必要が生じた ら、どのように取り組むべきなのでしょうか。 まずは、行動のお手本役として、社内の非公 式のリーダー――同僚からの人望が厚い人 物――を複数選びます。該当する人物をミド ル マネージャーに挙げてもらえば、人選は あっという間に完了するでしょう。次に、その リーダーたちと論理的でかつ心の通った会話 を交わします。このときは、「あなたたちの助 けが必要だ」という謙虚な態度から出発しな ければなりません。
この非公式のリーダーたちが変化を受け入れ、 その様子を同僚が目にすると、草の根に火が 付きます。その火があちこちで次々に生まれ、 じきに山全体が燃え上がるというわけです。
「同僚からの人望が厚い50人を説得して、変化を受け入れさせます。 そうすれば、間もなく全員が彼らに続くでしょう」
LEANDRO HERRERO氏
VIRAL CHANGE GLOBAL社 マネージング・パートナー、THE CHALFONT PROJECT社 共同創設者
私たちはコンサルタントとして15年間この手 法を利用してきました。失敗したことは一度 もありません。つまり、こういうことです。変化 を押し付けるべからず。従業員から慕われて いる同僚に、変化すべき理由を行動で示させ るべし。そうすれば、変化は訪れるでしょう。
Leandro Herrero氏は臨床心理学者であり、Viral Change Global LLP社のマネージング パートナーであり、組織戦 略、変革マネジメント、リーダーシップおよびイノベー ションを専門とする国際的コンサルティング会社The Chalfont Project Ltd 社 (www.thechalfontproject.com)の共同創設者です。
スキャンすると、Leandro Herrero氏が 変革の実施について語る様子を ご覧いただけます。 : https://www.youtube.com/watch?v=iStEUTbhCo4