頭上を飛ぶ飛行機を見上げたことのある人、その飛行機が目指す異国の地を夢見たことのある人、自分が乗っていたらと思ったことのある人、そんな人々のために、ブリティッシュ・エアウェイズはさまざまなテクノロジーを駆使して、旅行熱をかきたてるキャンペーンを考案しました。新しい路線やフライトの頻度に対する関心を高めるために、同社が制作した屋外動画広告は、文字通り頭上を飛ぶ飛行機を指差します。これはシンプルで「魔法のような」アイデアですが、舞台裏では数々の高度なテクノロジーと精緻な仕掛けが必要でした。
ブリティッシュ・エアウェイズを担当する広告代理店、OgilvyOne UKのグループコミュニケーションディレクター、Poppy Nagra氏は次のように説明しています。「飛行機に搭載されているADS-Bアンテナを利用して、200キロメートル以内を飛ぶ飛行機の位置情報を受信しています。この広告には便名だけではなく出発地も表示されます。それぞれの便に合わせてメッセージを変えているのです」
このテクノロジーは、雲の高度データをもとに、地上の人々からその飛行機が見えるかどうかも計算しています。雲がかかっているときにはメッセージは表示されません。飛行機が視界に入ると、そのデータが引き金になって動画広告が起動します。進行中のメッセージから、好奇心旺盛な幼児が頭上を飛ぶ飛行機を指差している画面に切り替わり、便名と出発地が「見て、××発××便だよ」というメッセージで表示されます。
ロンドンのピカデリーサーカスとチズウィックに設置された2つの屋外広告には、ブリティッシュ・エアウェイズの特設サイト「Look Up」に人々を誘導し、Twitterで#Look Upというハッシュタグの使用を促進する効果もありました。このキャンペーンがスタートしてから3週間でYouTube では100万回再生され、Twitterのつぶやきは17,000件にまで達しました。またメディアインプレッションは4,500万回にのぼりその結果、数々の広告賞に輝いています。
OgilvyOneで欧州・中東・アフリカ地域を担当するチーフクリエイティブオフィサー、Emma Delafosse氏は、財団D&ADの栄えあるゴールデンペンシル賞を受賞した後にこう述べています。「このキャンペーンが成功した秘訣は、人間の本質を中心に据えた点にあります。これは、テクノロジーを単にそれ自体のために利用するのではなく、人々の感情や願望、ニーズに連動させれば、最高の結果が出せるということを証明したキャンペーンではないでしょうか」