Misereor

ソーシャルスワイプでゲーム感覚の募金を


29 April 2015

モバイル情報端末およびソーシャルアプリは一気に火が付きました。マーケティング担当者は3Dビジュアル技術など最新テクノロジーを駆使してこれらデジタルツールでの露出を得ようとしてます。本マーケティングギャラリーではいくつかの会社および団体が『既定路線』から脱却した事例を通して何が成し遂げられるか紹介します。

先進テクノロジーといえば大げさなガジェットを思い浮かべますが、ユーザーを引き付けるブランド体験には、あっと驚くような特殊効果が必要とは限りません。シンプルでなじみ深いアクティビティほど満足度が高いこともあります。

非営利の慈善団体Misereorの場合は、シンプルでありながらエレガントな体験型の寄付によって、満足度の高いユーザーエクスペリエンスを実現しました。しかも、コネクテッド・テクノロジーを駆使することで、継続的な関係を築くチャンスも広げました。

金をもとに世界中の貧困や社会的不正と闘っているMisereorは、ヨーロッパでは買い物の40%がクレジットカードで決済されているという情報にもとづいて、「ソーシャルスワイプ」というアイデアを考案しました(スワイプ とは英語で、カードを決済端末の差込口に通す動作を指します)。Misereorは以前にコイン投入式の募金箱(コインを入れるとカラクリ装置が動き出し、その募金がどう役立つかが目に見える仕掛け)を開発して成功を収めています。同団体は、クレジットカードが利用できるキャンペーンならもっと募金が集まるのではないかと考えました。

Misereorはこのソーシャルスワイプキャンペーンで、ドイツに本拠を置くクリエイティブ・エージェンシー、Kolle Rebbe社と共同で、1回2ユーロを募金できる体験型のデジタルポスターシリーズを開発しました。クレジットカードをポスター内のスリット(カード情報を読み取り決済するための溝)に通すと、その動作をきっかけに、あたかもそのカードでフィリピンの子供の両手を縛っているロープを裁ち切ったり、ペルーの家族のためにパンを一切れ切り分けたりしたかのような動画が流れます。

Kolle Rebbe社のエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター、Sascha Hanke氏はこう説明してくれました。「寄付に関する全てのプロセスをシンクロさせなければなりませんでした。カードを通すと、セキュリティを確保しながら認証を行い、瞬時に動画を映し出します」

このデジタルポスターを独ハンブルグや蘭アムステルダムの国際空港に設置したところ、最初の1ヵ月で3,000ユーロの募金が集まりました。Misereorはクレジットカードの一連のプロセスを活かしてキャンペーンを拡大するために、募金者に届くカードの明細書に「一度きりの募金を毎月の寄付にしませんか」という短いメッセージを付けました。Misereorによれば、このキャンペーン中に3回以上寄付をした人は、前年同期比で23%も跳ね上がったとのことです。
 
Kolle Rebbe社のPRマネージャー、Thomas Stritz氏は次のように述べています。「今回のポスターには一般的な募金箱より費用はかかっています。もちろん募金も大切ですが、それ以上に認知度を上げることが重要です。写真を撮っていただいたり、動画をアップしてシェアしていただいたりして、コメントや記事にも取り上げられています」

ソーシャルスワイプを体験
https://www.youtube.com/watch?v=dVvZdC2Kp14

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