エクスペリエンスの声

Mike Accavitti氏: アメリカンホンダモーター社アキュラ部門 シニア・バイス・プレジデント兼ゼネラル・マネージャー

Mike Accavitti
7 May 2015

マーケティング戦略立案者は「デジタル・ファースト」あるいは「モバイル・ファースト」といった視点から戦略展開を語るケースがしばしばあります。アキュラでは、カスタマー・ファーストこそが最良のアプローチである、と確信しています。

アキュラブランドは、高級車市場のテクノ ロジーリーダーであり続けてきました。し かし私たちは、テクノロジーの目的とは、 それがいかに人々に役立つかという点に ある、と考えています。こうした考え方は、 デジタルおよびモバイル・メディアの登場 により、これまで以上に重要なものとなっ ています。これらを使って、テクノロジー がお客様一人一人のパーソナルスペース に入り込んでいくからです。 

コネクティビティは、購買過程を根本的 に、かつ永久に変化させました。今日、ク ルマを一台購入するために人々が費やす 時間は平均15.5時間であり、そのうち12時 間はデジタル・メディアの使用を伴うもの です。人々は今もなお、ショールームの訪 問に平均3.5時間をかけています。しかし、 ショールーム滞在中も、常にモバイル・デ バイスを使用できる状態が保たれ、さらに タップやスワイプ操作で、理想のクルマを 手に入れるための手段も確保されていま す。求める色が在庫にない場合、お客様は 在庫のあるディーラーをすぐに検索する ことができます。モバイル・テクノロジー により、お客様はまさに主導権を握るよう になったのです。 

「かつてマーケティング戦略立案者は、 お客様の購買決定の具体的な時間や場所に対し、メッセージをこれほどまでにカスタマイズして発信する力を 持ち合わせてはいませんでした。」 

MIKE ACCAVITTI氏
アメリカンホンダモーター社、アキュラ部門、シニア・バイス・プレジデント兼ゼネラル・マネージャー

最終的にクルマの購入を決定するまでの一連の流れ(コンシューマー・ジャーニー)において、各消費者はテレビ、出版物、ラジオ、オンラインおよびモバイル上の数々のメッセージを通じ、複数の自動車ブランドと接触することになります。大量の広告があふれるなかで一歩抜きんでるには、あらゆるメディア・チャネルを横断する、戦略的なマーケティング手法が必要です。私たちは、クロスメディア型の露出によって、ブランドの親しみやすさや検討機会、そして好感度を二桁レベルで向上させることが可能であることを発見しました。

パーソナル・デバイスを通じて消費者とつながるには、コンテキストやコンテンツに応じ、適切なメッセージを発信する必要があります。たとえば、スポンサー付きのオンライン・コンテンツは、長めのストーリーを展開できる一方、モバイル向けの動画は、短く、インパクトがあるものが求められます。最近、私は視聴したいと思った45秒の動画を入手するために、1分間のコマーシャルを携帯電話で見なければなりませんでした。マーケティング戦略立案者の中には、これを成功と捉える方もいるでしょう。私は、こうしたやり方は嫌がらせである、と考えます。

 

アキュラでは、モバイル向けの短い動画コンテンツの前に再生されるのに適した、10秒あるいは15秒のダイナミックな広告を作成しています。短い広告の方が、より多くの方に最後まで見ていただくことができ、メッセージが伝わるチャンスが高まります。しかし、それ以上に重視すべきは、より多くの消費者に、当社のブランド・エクスペリエンスを満足していただける点にあります。

 

モバイルは、消費者にリーチする上で特に効果的です。今日、圧倒的多数の消費者がスマートフォンを携帯しています。私たちは、パーソナルなワントゥワン・マーケティングが効果を発揮すると同時に、一人一人の受け手に対する敬意をもって展開されるよう、ガイドラインを策定しました。ガイドラインでは、潜在的なお客様に、いつも新鮮な感覚を味わっていただくためのコンテンツ、つまり「サイズは小さく、内容は魅力的」な動画の作成をサポートしてくれるキー・パートナーを慎重に選ぶことについても触れています。

 

デジタルおよびモバイル・メディアは、マーケティング戦略立案者に大きなチャンスを提示しています。かつて私たちは、お客様の購買決定の具体的な時間や場所に対し、メッセージをこれほどまでにカスタマイズして発信する力を持ち合わせてはいませんでした。カスタマー・ファーストを戦略に盛り込むことで、私たちは一度きりの売買ではなく、お客様とアキュラブランドの長期的な関係構築を支援していきたい、と考えています。

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