Claudio Capelli氏は仮想現実ヘッドセットを握り、ロンドンのグレート・オーモンド・ストリート病院(GOSH:Great Ormond Street Hospital)の心臓病棟への階段を下りてきます。Claudio Capelli氏は、16歳の少年に彼の欠陥のある心臓のデジタル画像を見せようとしています。翌日に人生を変えるような手術を控えている心臓です。
「心臓手術はどれも繊細な手術です」と、Capelli氏は語ります。「しかし、このような複雑な先天性疾患を持つ心臓に取り組むときには手術全体が大幅に難しくなります」
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL:University College London)の心臓血管および呼吸器科の上級研究員であるCapelli氏は、患者のためになるプロジェクトに取り組みたいとキャリアの早い段階で思いました。バイオメディカルエンジニアとしてのCapelli氏は、毎日GOSHを訪れる何百人もの子供や若者を助けるテクノロジーを創造することにキャリアを捧げています。
「この病院にいる多くの子供は極めて複雑でまれな先天性心疾患を持って生まれており、そのために個別化医療が必要です」と、Capelli氏は言います。「個別化医療を提供するために、そのような心臓の極めてリアルな仮想モデルの作成に尽力してきました。そのモデルを使って最善の治療法を予測できます」
手術における3D
ラ・フォンダシオン・ダッソー・システムズからの助成金による資金提供を受け、グレート・オーモンド・ストリート小児病院とUCL心臓血管科学研究所の心臓血管工学チームは3D CAREプロジェクトを進めています。
「心臓手術はどれも繊細な手術です。しかし、このような複雑な先天性疾患を持つ心臓に取り組むときには手術全体が大幅に難しくなります」”
CLAUDIO CAPELLI氏
グレート・オーモンド・ストリート病院 バイオメディカルエンジニア
このプロジェクトは、Endrit Pajaziti氏が開発した新しい仮想現実ツールの設計に重点的に取り組んでいます。臨床チームは手術の前にこのツールを使い、リアルな3Dモデル内で患者の心臓を検証できます。このアプリケーションは医学生や若い医者の教育を促進するためだけでなく、患者やその家族とのコミュニケーションの改善にも使います。近い将来には、このアプリケーションで執刀医が手術室に入る前に複雑な心臓血管手術をシミュレーションし、特定の外科的介入の課題を十分に理解し、患者に合わせた最適な解決策を選べるようにもなります。
「通常の心臓がどのように発育するかを理解するだけでも十分難しいのですが、ある先天性心疾患がどのように発症するかを理解するのはさらに困難です」と、Capelli氏は述べています。「仮想現実アプリケーションからの3D情報は特定の心臓がどのように発育するかを明らかにし、各患者の複雑な状態をより深く理解できます」
開発をさらに進めることでこのテクノロジーの可能性が高まるでしょう。
「開発が進めば、執刀医がモデルを外科的に「切開」できるようになるでしょう」と、Capelli氏は語ります。「すると、ユーザは(仮想3D上で)外科手術全体を模擬体験できるようになり、執刀医はさらにリアルな経験が得られるのでより自信を持って手術に臨めます」
For more information, please visit lafondation3ds.org