アメリカ合衆国環境保護庁発表の統計によると、農業業界は、世界の人々に食料を提供するという責任を果たす一方で、世界全体の温室効果ガス排出量のうち約24%の原因となっています。農業機械の国際的サプライヤーとしてイタリアで創設されたMaschio Gaspardo社の社長、Mirco Maschio氏は、この状況を変えることは人間の責任であると考えています。
Maschio氏は次のように述べています。「環境サステナビリティは当社の基盤をなす要素です。環境にやさしい農業へのアプローチは、生産物の質を高め、最終的には消費者の健康増進につながります。当社は、私たちが暮らす地球、地球からもたらされる資源、そして地球に住む人々に対する責任を全うできるよう、革新的なソリューションの開発に取り組んでいます」
同社は環境面では、農業機械メーカーにおける最新のライフサイクル評価手法の採用について調べる、国際連合環境計画(UNEP)と環境毒性学及び環境化学に関する国際学会(SETAC)によるプロジェクトのケーススタディに選定されています。このプロジェクトの目的は、温室効果ガスの大幅な削減、土壌の保護、よりサステナブルな製造工場の実現のための最善の分析ツールをテストすることです。
Maschio氏は次のように述べています。「当社は単一のプラットフォームで包括的なプロセスを管理し、製品開発と製造をどこからでも効率的に行えるようにしています。これにより、設計、調達、生産、サービスの各チーム間の連携を向上させることができました」
このプラットフォームによってMaschio Gaspardo社は、製品の耐摩耗性や耐久性を高める画期的な材料を使うなどして、より環境を配慮した農業機械を製造できます。農業機械の耐用期間が長くなると、同社で必要となる自然資源の量が減るため、サステナビリティが向上します。
Maschio氏は次のように述べています。「タングステン製のブレードと当社のWIDIAブランド ブレードでは、ボロン鋼を使った標準的なブレードと比べて、耐久性がそれぞれ約3倍と7倍高まります。これらの新しいコンポーネントは、摩擦によるエネルギーの浪費が少なくて済むため、燃費の向上と二酸化炭素排出量の削減を可能にします」
「教育は、自律性に優れた力強い地域社会を形成・維持するために欠かせないもう一つの要素です」 MIRCO MASCHIO氏
MASCHIO GASPARDO社 社長
Maschio Gaspardo社は、イタリア国内の3工場に電力を供給する太陽光発電システムの設置にも重点的に投資しています。Maschio氏は次のように述べています。「年間約1,700トンの二酸化炭素を削減できました。これは、15万本以上の木によって吸収される二酸化炭素の量に相当します。さらに、天窓を開けたり、熱回収システムを導入したりして、工場施設の断熱も行っています。これらのプロジェクトは、当社のカーボン フットプリント削減という成果にすでに結びついています」
Maschio Gaspardo社では、生態系を配慮したサステナブルな生活を送るよう社員を支援することにも注力しています。その一環として、同社のカープーリング システムにハイブリッド車や充電ステーションを提供することで、環境にやさしい車社会の向上に取り組んでいます。
地域社会の自律性促進と支援
2人の兄弟によって1964年に設立されたMaschio Gaspardo社は、社会的なサステナビリティの促進にも注力しています。
2016年には、農業機械と環境サステナビリティに関する知識を活用したエンプロイアビリティ向上のための研修学校を設立しました。Maschio氏は次のように述べています。「教育は、自律性に優れた力強い地域社会を形成・維持するために欠かせないもう一つの要素です」
Maschio Gaspardo社の取り組みは、現職の社員のスキルの向上だけにとどまらず、未来の働き手のトレーニングにも及んでいます。
Maschio氏は次のように述べています。「社員の子どもの教育をサポートするため、当社の創設者にちなんだBorsa Di Studio Egidio Maschioという基金を創設しました。この基金の目的は、若者の教育を支援し、求人市場で成功するために必要なスキルを開発できるようにすることです」
「この教育プログラムでは、地域社会にポジティブな影響をもたらすことに対する当社の信念が原動力となっています。そのねらいは、責任感と相手を尊重する意識を次の世代に植え付けると同時に、成功するために必要なライフ スキルとテクニカル スキルを開発できるよう若者を支援することにあります」
サステナビリティを実現するための明確な答えが一つあるわけではありませんが、Maschio Gaspardo社は、世界とそこで生活する人々の生活をより良くするために尽力しています。
Maschio氏は次のように述べています。「当社のイニシアティブは、世界の変化に応じて日々の業務慣行を進化させ、社会に対して新たな責任感を持つことの重要性を表しています。サステナビリティとは、私たちが果たすべき責任であるだけでなく、私たちの子どもたちの未来をより良いものにする機会でもあります」